黒い翼の天使。 (ページ2)

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出会いページ2

焦げ臭い火薬の臭い。
数多の警官と軍人。悲鳴。すすり泣く声。
散らばる宝石は周りの悲惨な現状とは異なり、太陽の光を受けて鋭く輝く。
ナイフ。
人質。
窃盗犯。

｢近寄るな！一歩でも動いたらこの女の命はねぇ！！｣

無精髭をはやした男は一階建ての宝石店の従業員の女の人の首にナイフを突きつけた。
人質にされた女性は泣きじゃくっている。
犯人が威嚇のために放った爆弾のために屋根は壊れ、空が見えていた。

｢兄さん、これはヤバいかもよ...｣

｢諦めんな、どっかにある筈だ。人質を助けて犯人を捕まえる方法が...！｣

爆弾の音を聞きつけて何かとやってきたエルリック兄弟は苦戦を強いられていた。
軍も警官もエドワードもアルフォンスも動けず犯人との睨み合いが続いていた。

その時。

ヒュッ。
風を切る音がした。そしてドゴォンｯと凄まじい音を立てて何かが地面に落ちる。いや、落ちたのではない。あっという間に床にヒビが入った。
そして、犯人の背中にナイフが突きつけられる。

｢その人を離して...じゃないと、お前を殺す｣

殺気が込められた冷たい声は少女の声色だ。

｢ひぃっ！｣

犯人は情けない声を上げると女性から離れナイフを捨てて逃げようとする。

｢おっと、逃がさないぜ！｣

エドワードが犯人に回し蹴りを食らわし、取り押さえた。

｢大丈夫...ですか...？｣

呟くような小さな声で人質から開放された女性を少女は心配してたずねる。
女性はまだ泣いていたものの、お礼を何回も言っていた。

そしてちらりと見えた少女の顔。
それはとても美しく、けれどもあどけない可愛さが残っていて。

その少女は黒い外套を羽織っていて、背丈は小さい。

(この子はもしかして、＿＿＿＿

黒翼の錬金術師)

アルフォンスはそう思った。