「か」って言わなかっただけ。 (ページ24)

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貴方じゃないだけ。ページ24

「オレ、か…Aちゃんのこと好き」

…は？

声を何とかこらえ、現状把握に努める。

目の前に立っているのは、
学祭委員長。
先輩。
爽やかイケメン。
髪の毛サラサラ。
人気者。
陽キャ。

そんな彼が私に告白してきた、という訳か。

なるほど。

「えっと…なにかの冗談とか、罰ゲームとか…」
「違うって！」

「Aちゃんはオレのこと、どう思ってる？」

かっこいい、と思った。

私なんかが、とも思ったけど。

多分、私は、幸せなんだと思う。

思うんだけど…

「一緒に学祭、回らない？」

なんで、なんでこんなにもやもやしてるんだろう。

釈然としないんだろう。

頷いてしまうだけでいいはずなのに、

なにを躊躇ってるんだろう。

「なんなら、友達からってことでもいいからさ」

ずるくないですか。

こんな大勢の前で、そんな断りづらい台詞。

こういう意味で目立つのは望んでないのに。

「…A？」

言葉が出てこない私を心配したように、なつめが声をかけてきたが、それより前に、委員長が私の腕をつかんだ。

「いこ？」

その瞬間、分かってしまったんだ。

私はこの人を好きになることはない。

だって私は―――――

「あ、あの…」

なけなしの勇気を振り絞って、口を開くと、

「どうかした？」

嘘くさい笑顔だ。

顔は完璧に笑みの形を保っているけれど、目が、もたもたしている私にいら立っている。
そんな笑顔、あの人とは比べ物にならないよ。

でも、その視線が怖くて、何も言えなくて、

頭がぐるぐるする。

「行こ」

もう一回腕を引っ張られたそのときだった。

「やめてもらっていいっすか」

「「え？」」

横からずいっと腕が伸びてきて、そのまま腕の中に閉じ込められる。

「オレの、彼女♡」

ぎぎぎ、と恐る恐る振り返ると、

「し、し、し……」

赤アフロ＆グラサンの、見るからに怪しい格好の男が、

「なんでいるんだーーーーーーー！！！！」

今一番会いたかった男が、

「来ちゃった♡」

重岡大毅がいた。