ツーショを撮っただけ。 ページ18
件のニララーメン屋。
仕切りがあるから身バレは大丈夫。
そのへん気にできるあたり、アイドルの妹。
「おっちゃーん。ニラギガ盛りラーメンと…トッピングセロリも追加でぇ!」
正気かこいつ。おっちゃんも苦笑気味。
「Aはどする?」
「えと…ニラ玉ラーメン小で」
「あ、ニラ増しで」
「ちょぉ、しげ!」
抗議空しくおっちゃんは去っていった。
「やってぇ、A細っこくて不安やってんもーん。沢山食べんとおっきくなれへんで?」
「ちっさくないから」
「…」
「ふぁーっく!」
しげは今日も、実に楽しそうに笑う。
「お待たせしやしたー」
「ひゃっはっはっは…ひぃー!緑やぁ!あはっ…濃い緑と薄い緑のコントラストォォォォ!えぇーーーーっぐぅ!」
テンションのギア一気に上がったな!
私はそーっとカメラを起動して、こっそりシャッターを切った。
カシャ
あ、音。
「わー!盗撮魔ぁ」
「やっ!転売とかそんなこと考えてないから!ちょっとこれは深ーい事情があるんだ!」
「そんなん疑ってへんって笑笑そんなやつと友達やってへんわ」
とりあえず目の前のラーメンに取り掛かることにする。
しげのラーメンがセロリだけになったとき、
「そーいや、深ーい事情ってなんやったん?」
「いや、その…笑顔を研究しようと思って」
そういって私は、写真で笑顔をうまく作れない旨を話した。
「やっぱにこにこ天使ちゃんの笑顔は最強やろ?」
「ん」
しげの笑顔は強い。
キュッと細まった目に、半月の形をした大きな口。白い歯は常人より多く見えるし、片頬に浮かぶえくぼもチャーミング。
ビジュアル的にも強いけど、なにより見ているこっちが楽しくなってくるんだよなぁ。
「ちょっとやってみよーや」
「え?」
しげがいそいそとこっち側に回ってきて、ぴとっとくっついた。
スマホを持った腕を上に掲げるからあわてて覗き込む。
「ちーず」
「うえぇぇえ!?」
顔はまあ引き攣る引き攣る。
「おもろ…」
しげはくふくふと笑ってるけど。
「何も考えずに、今が楽しい!いぇい!って思ってりゃえーやん」
「なにそれ」
ついつられて笑うと、
「隙あり!」
勝手にシャッターが切られた。
「ちょっ、ピンじゃん!」
「保存保存〜」
「消せ!」
「え、やだ」
「じゃあ二人でもっかい撮るでー?」
「ちーずっ」
しげと二人。幸せ。
いぇい!
…超連写。
写真の出来は想像にお任せします。
「おい、セロリ残して会計しようとすな」
「ばれたか」
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作者名:ひめりんご | 作成日時:2020年3月24日 0時