服が多いだけ。 ページ11
「ともー」
「なんや」
「服選んでー」
反抗期とかいいつつ、ちゃっかり兄を利用する妹ですが何か。
「今日はどしたん?大学やなかったっけ?」
「午後、友達と出かけるから…」
最近できた友達なのである。
だから気合いが入るのである。
そう言い訳して、ともに助言を求める。
いや、この前シフォンチュニックにジーンズというシンプル極まりない格好だったし、どうせしげなんて綺麗な人ばっかり見てきてるだろうし、今更感しかないけれども。
あぁなんか落ち込んできた。
「んー。このワンピースとかかわええんちゃう?」
「あー。それお気に入りだけど気合い入れすぎって引かれたらいやだなぁ」
確かに、とうなずくとも。
「え」
「ん?」
途中で何か気づいたように動きを停止するとも。
「ってことは男なん?」
「べ、別に男友達がいたっていいやん!」
「ってことはこの前の朝帰りは…」
「ちゃうわい!」
信じていない顔で唇をひん曲げている。
「お勧めコーデはこれやな」
どこから取り出してきたのかいかつい防護服。
「完全不審者やんけ」
結局、薄手のブラウスに、一部だけプリーツが入った花柄スカートという、無難と気合入れの狭間くらいをチョイス。
友だちだし…と、しげだし…の葛藤の末であった。
「夕方は寒くなるから、上になんかはおっときぃ」
「わかってるー」
ばたばたのせいで割とぎりぎりの時間。
駅までの信号、引っかからずに行けるかな。
「完全男やんけ」
とものつぶやきは、飼い犬と飼い猫のみが聞いていた。
「上重様ですね。こちらへどうぞ」
芸能人だから、やっぱ個室なんだぁ。と感心して通されたのは、こじゃれたカフェ。
でも、やたら高級そうではなくて、ほっとする。
…てか上重って。神重ってことですか。ごちそうさまです。
…私も神山ですが。
「Aこっちやー!」
芸能人だからっていうか、声がでかいから、という理由で個室なのか?
「大学お疲れさん」
「ん。しげは、オフなんだよね」
「おー。暇やったし、Aと会えてちょうど良かったわぁ」
ふーん。
さらっとそういうの言ってくれるなよ重岡さんよ。
「それにしても、日の光の下で見ると、ちゃんと女子大生やねぇ」
かわいいやんとぽつり。
ふーん。
さらっとそういうの言ってくれるなよニブ岡さんよ。
「やっぱ防護服にすりゃよかった…」
「俺、そんな危険人物ちゃうんやけど…」
絵面めっちゃおもろいやろな、と二人で噴き出した。
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作者名:ひめりんご | 作成日時:2020年3月24日 0時