トルアイアングル③...Ryosuke&Yuri... (ページ35)

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134+1 Ryosuke angle ページ35

A「涼ちゃん」

そう囁いて一呼吸、空気が止まって
俺は横目でちらり、と彼女を見た。

迷いの無い、俺を見抜く顔。

強い視線に俺は目一杯に微笑んでみせた。

すると案の定、眉間に皺を寄せて
泣きそうな顔。

大丈夫だって。
分かってっから。

A「りょう、ちゃん」

一字ずつ、その音を噛み締めるように呟いて、
Aの唇の端が痙攣した。

充分過ぎるほど満たされているはずなのに
変だよな。

笑えないこともあるんだ。

それより俺の顔、強張ってねーかな。

涼介「は、おまえ、全然笑えてねーよ？」

そう言うとAは神妙な顔で
うん。とだけ呟いた。

ああ、やっぱり。
いつもの呼び名とは違くて
涼ちゃん、なんて呼んだりして。

不自然に作ったように、
まるでわざとそうしているみたいに。

そう。まるで

特別、みたいにさ。

A「涼ちゃん」

涼介「………なに…」

A「涼、ちゃん……」

涼介「……だーから、なんだよ」

久し振りに呼ばれたその呼び名を、
もうずっと聞いていたかった。

結構良いもんじゃね？

声が掠れて枯れるまで、
大好きな人に名前を、呼んでもらえるってのも。