トルアイアングル③...Ryosuke&Yuri... (ページ32)

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気が付くと侑李の前では
笑っていられる自分がいて。

気が付くと侑李のことばかり考えていて。

気が付くともう、
侑李を好きで手遅れだった。

A「…ここ…」

侑李「覚えてる？」

A「……うん」

侑李に頷いて、公園の中を見渡した。

ベンチもブランコも滑り台も。

全部あの日と変わらない。

桜の木の枝を彩る花が、赤く黄色く散っていく枯れ葉に変わったこと以外には。

侑李「はい。コーヒーだけど。甘いのにしといた」

侑李が手渡してくれる缶コーヒー。

その奥に見える赤い空にデジャヴを覚えた。

知り合ってまだ日が浅い頃、
侑李の前で泣いてしまった、あの日。

A「なんかすっごい懐かしい。
一年の初めに戻ったみたいじゃない？」

侑李「じゃあA泣かなくちゃだよ」

A「なっ、泣かないってば」

同じ事を思い出していたことに恥ずかしくなって
笑って誤魔化しながら侑李の肩を小突いた。

私はもう、涼介を想っては泣かない。

大好きだった人。

これからも大事な人。

好きだと伝えたことも、
…好きだと言ってくれたことも、

大切な思い出として
しまった記憶は取り出せる。

だけど感じた胸の痛み、
悩みも不安も、過去のもの。

風化するわけじゃなくても、
もう痛いとは訴えてこない。