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侑李「……もういいよ、」
A「……え……？」
侑李「……そんな顔、見る為に来たわけじゃないから。元気にしてたなら別にそれでいい」
静かな深い溜息の後に
侑李はそう言って薄く笑った。
侑李の″そんな顔″を見たくなかったのは私も同じで、
だけどそうさせたのは私だ。
何をしてるの私。
何をいつまで躊躇してるの。
全部、話すって決めたのに。
A「侑李、あの、」
侑李「違うよ」
A「……え？」
侑李「ここ。答え違う」
そう言って侑李が指を差したのは、
まさに今圭人と一緒にやっていた課題。
侑李「ついでに言うとそこら辺も違う」
指摘されたのは、どれも圭人とやった課題。
ということは…
A「……ごめん圭人！！
教えたとこ……全部違う！！」
圭人「……え、あ、うん！大丈夫！！」
侑李「……二人とも…どこが分かんないの」
結局、圭人と揃って課題はやり直しになって
間違えたところは侑李が教えてくれた。
何事も無かったかのように、
休み前と同じように、今まで通りだった。
侑李は私が何か言おうとしたことに気付いていた。
だけど、完全に壁を作られた。
『これ以上、話すことは無いよ』
あの行動に、態度に、
そんな言葉が滲み出ているみたいだった。
だけど私は侑李と会えて、
また話せたことに一先ず安堵して
もうそれだけで十分だった。
また、大事な言葉は間に合わない。
当たり前の心地良さに甘えて、
踏み出そうとした足を、そっと戻した。
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作者名：環
| 作成日時：2017年3月28日 17時
