トルアイアングル③...Ryosuke&Yuri... (ページ27)

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怒るつもりなんてなかった。

涼介に啖呵切った手前、
泣かせるつもりも微塵もなかった。

昨日圭人からの電話を素っ気なく切った後、
懲りずにスマホにメッセージが届いた。

Aと約束をしているから一緒に行こう、
といった主旨の内容。

当然のようにAと連絡をとって
当然のようにAと会える圭人に
腹が立ったのは事実。

羨ましかっただけ。
ただの、かっこ悪い嫉妬だ。

勿論、Aに対して
なんで？という気持ちもあったけど
何より体調は悪くないみたいで良かった、
と安心する気持ちの方が大きかった。

ほんの数日だとしても友人が入院だ、手術だ、と
目の前から姿を消す経験は
そう何度もしたくはないものだから。

まあ友人、と言うにはAは特別過ぎるけれど。

そのまま圭人に返事はしなかった。

だけど一晩明けてよくよく考えると、
僕が行かなければ、二人きり。

いつもは別段気にしない事だけど、
何だか急に、無性に苛ついて、

二人が居るであろう駅前の店を地道に探すこと数十分。

で、今。

苛々していたその気持ちのまま、
いや、むしろ二人の姿を確認した瞬間に膨れ上がった嫉妬心をプラスして。

気付けばAを責めるような言葉が口をついて出ていた。

怒るつもりなんてなかった。

Aの瞳の奥がゆらりと揺れて
心に棘が突き刺さるような感覚に襲われた。

心が痛ければ痛いほど、
締めつけられるほど、止まらなくなる。

違う。
泣かせるつもりなんて。

目を瞑って、

ゆっくり静かに息を吐いた。