トルアイアングル③...Ryosuke&Yuri... (ページ1)

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A「え、と………涼介？

あの、離し…」

涼介「………雨、」

A「……え？」

涼介｢……明日。

雨降んねーかな、って思ってた｣

激しい雨の音の隙間に小さく降ってくる声。

A｢ぇ、あ……なんで、｣

動揺と混乱の中で、私はその声に情けなく尋ねるのが精一杯だった。

掴まれた腕が

抱きすくめられた肩が

冷たくて、熱い。

涼介から体を離すことが出来ない。

涼介｢花火…なかったら、｣

涼介｢多分まだ知念の、になんねーから｣

涼介が何を言っているのか、
何を言おうとしているのか、

察して理解出来る程、私は大人じゃなかった。

いや、大人だったとして、そんなことは有り得なかった。

涼介「だから…………俺のもんになって」

A｢……な、に、言ってんの……？
冗談、｣

涼介｢冗談でこんなことしねーし、言わねー｣

涼介から発せられた言葉は、私の逃げ道を簡単に奪った。

ドクドクと全身が脈を打つ感じがして、湿った服のせいなのか何なのか、指先がやけに冷たい。

外の雨が止んだのかと思うくらい、

涼介の声だけが耳の奥に響いた。