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Phase04 ページ6

「……」


傷付く、なんて今更だ。中也の助太刀に入ろうとした。

次の瞬間。

黒い炎が、全員を水平に吹き飛ばした。
無論それは近くにいた文也も例外ではない。側面から叩きつけられた黒い衝撃波が全員の体を横向きにさらっていった。

人体だけではない。建物も、電柱も、木々すらも。空気そのものが突如人間に対し怒りの牙を剥いたかのように、地上の万物を薙ぎ払っていく。

それは黒い爆発だった。

擂鉢街の中心近くで巨大な爆発が巻き起こっていた。
ただの爆発ではない。一体を呑み込む巨大な熱火球だ。

散る枯れ葉のように吹き飛ばされた文也は回転する視界の向こうにそれを見た。それは見知らぬ老人であった。

黒い炎の中でも平然と、むしろ炎を外套のように纏って、地獄の主のように立っている。

でも文也の意識が保ってこれたのはここまで。
プツリと文也の意識が暗黒へと呑み込まれ途絶えた。



 


ペチペチ。
頰を叩かれている感覚がして文也は目を覚ます。
視界いっぱいに入ったのはコンクリートで出来た天井。

「あ、起きた」

と相変わらず何を考えているのかわからない零魔の顔があった。

「零魔……」

「……おはよ?」

全身の節々が痛む。何故、思考を巡らせてすぐに意識を失う前の出来事を思い出し文也は飛び起きた。

「ここは一体。中也は……っ!!」

「……中也なら。多分此処(・・)の首領のとこ」

「……此処、じゃと?」

周りを見渡す。鉄格子の窓に備え付けベッドが一つ。
まるで其処は牢屋のようだった。否“ような”ではなく牢屋なのだろう。文也の右足首には鉄製の足枷が一つ。

こんなもの彼女が持つ“異能力”であればすぐにでも粉砕出来るが文也はそれをしなかった。

はあああ、と深い溜め息を吐いてその場に座り込む彼女はぶすっと不機嫌そうな顔をする。

「この状況を打破する作戦がなぁんにも思いつかん。零魔よ、何かあるかえ?」

「………」

「零魔?」

無言のまま虚空を見つめていた彼女が今度は扉を見つめている。扉に何かあるのか、と文也も見つめるが特に変わった様子はない。

「くる」

「え」

何がと問いかけるよりも早く、扉が開いた。

「やあ君達、目が覚めたようだね」

そこにいたのは太宰と呼ばれた少年が一人と寄り添うように彼の後ろにいる中也がいた。

「……なんじゃ兄さん。ついにこの男の犬にでもなったのかえ?」

「ちっげーーよ!!」

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作者名:フェルマーとSasa猫 | 作者ホームページ:無し  
作成日時:2022年7月15日 20時

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