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Phase14 ページ16

「犯人教えろよ!」

「やだね!」

「本当は判ってねえんだろ!」

「いいや、判ってるよ。どこかの小学生と違ってね」

「おらおらおら!守ってばっかじゃ戦いには勝てねえぞ!」

「はい残念!」

「なああっ!待っ」

なんてテンポのいい言葉を吐きながら勝利を手にしたのは太宰だった。今文也を含めた太宰、中也、零魔の四人は繁華街の電子遊戯場(ゲームセンター)にいた。

賑やかな電子音。客達の喧騒。その中で太宰と中也は遊戯筐体に向き合って格闘対戦の電子戦を行なっていた。

その様子を文也が遠くから冷めた目で見守っている。

もう一回だ、と叫ぶ中也に太宰はニマニマと笑う。

「もう一戦してもいいけど、結果は同じだよ。これでも手先は器用な方でね」

太宰は手をひらひら振りながら云った。

「さて……約束したよね。『負けたほうは命令を一つ、犬のように従順に遂行する』。何してもらおうかな?」

「くそ………割と自信あったのに………!」

蘭堂の家を辞してから太宰と中也の意見は対立した。
すぐに犯人の居場所に乗り込むべきと主張する中也に対し、楽をするためにも周到に準備すべきと太宰が反対したのだ。

太宰が、自分が看破した犯人の名を云わなかったことも口論に拍車をかけた。しかしお互い、暴力や脅迫による問題解決は森により言下に禁止されている。

なら電子遊戯勝負をしたらどうか、と冗談混じりに提案した文也の案が議決され、こうして四人は揃いも揃って繁華街を訪れていた。

まさか冗談混じりに言ったことを実行するなんて。文也はやや遠い目をする。その隣には自動販売機に売っている氷菓(アイス)を美味しそうに頬張る零魔がいた。

「君の自信はずいぶん安売りの店で買ったものらしいね」

太宰はふわふわと体を揺らしながら云った。

「君の敗因はね、異能が強いことだ。強すぎる異能があるから、狡猾さも周到さも育たない。その身長と同じく子供のままだ。だから勝てない。電子遊戯でも、推理勝負でもね」

「推理勝負だあ?」

中也が太宰を睨んだ。

「んなもん受けた憶えもねえし、負けた憶えもねえよ。手前が勝手に『犯人が判った』とか抜かしてるだけだろうが。信じられるかよ」

「それはもっともだ」

太宰は頷いた。

「でも君、犯人判ってないでしょ?」

「……ああ?」

「犯人判ってる?」

「……んなもん」

中也が顔を歪めてそっぽ向いた。

「……おうよ…」

「ん?何?」

「……ってるに決まってる……がよ……」

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作者名:フェルマーとSasa猫 | 作者ホームページ:無し  
作成日時:2022年7月15日 20時

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