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「改めて確認するけど、治くんは、わたしのことほんとに好きなん」
「好きやで」
即答かつ明言されると、いくら好きではない相手とはいえ心臓がきゅっと締まる。
「じゃあいつから、何がきっかけなんや」
さっきの治くんの言葉を受けて、彼のそれを知りたいと問い詰める。
思いのほか食いついたわたしに面食らった様子だったけど、メロンソーダに口をつけていた彼は逡巡する間を置いて、ぼんやりと虚空を見上げた。
「お前がハロウィンかなんかにかこつけてブラウニー焼いてきたやん、あれが最初や」
そう言えばそんなことをした。二週間前かそこらのことだ。
お菓子づくりが好きなわたしは、なにかイベントがあればその度にお菓子を作るし、何も無くてもふと思い立って作ることもある。
食べきれない分はいつも適当に配っているけど、どうやらそれがきっかけらしい。
「あれで胃袋持ってかれたわ。これから食べ放題になったりせん?」
「なんやそれ」
食べ放題って、そんなバイキングじゃないんだから。
その言葉が面白くて、つい笑った。
「……あ、」
「え?」
不意に上がった声に驚いて治くんを見上げると、彼はフッと目を細め頬を緩めた。
「今の、かわええ、笑ったの」
そういうの、ずるいと思う。
わたしをかわいいなんて言って微笑む治くんの方がきっとわたしなんかの百倍顔は整ってるし、綺麗だ。
急に恥ずかしくなって、彼から顔を逸らした。
全身が心臓になったみたいにドキドキしている。
治くんのことなんて何とも思ってなかったのに、突然背後から襲われたみたいな気分だ。
「……ありがと」
絞り出した返事に、治くんがおお、と声を上げた。
それから喜色を孕んだ声で、身を乗り出して顔を覗き込んでくる。
「ドキッとしてくれたんか?」
「うるさい」
「俺もお前の笑顔にドキッとしたんやから、ええやんか」
どうしてそういうことを息をするように言ってくれるのだろう。
さっきから早鐘を打つ心臓が止まらない。
今すぐこの場から逃げ出したいのに、絡みつく視線から逃げられない。
ごまかすようにテーブルに置いたウーロン茶を一口飲んだ。
動揺している自分が、悔しい。
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ひな(プロフ) - 満月さん» お返事遅くなってしまい申し訳ありません!ご注文お待ちしております(゚∀゚)師匠だなんて恐れ多いですが、宣伝していただく分にはぜんぜん構いません。私でよければ是非、、、 (2018年11月19日 14時) (レス) id: b56c38f9b7 (このIDを非表示/違反報告)
満月 - ひなさん» 勿論!これからも応援し続けますよ!あっ、後…1つだけお願いがあって…私の作品に、このシリーズの宣伝と、linkを貼らせては貰えませんか?出来ればネッ友として…((( 訳:ひな様とネッ友的な人…?になりたい(?)です。と言うか、師匠として宣伝したいです! (2018年11月17日 2時) (レス) id: 62008578a5 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 満月さん» それは大変失礼いたしました……アカウントが持てるようになった頃、それでもまだ欲しいと思っていて下さったら、その時はよろしくお願いします。こちらこそコメントいただけてとっても喜んでおります。これからも応援していただけたら嬉しいです! (2018年11月15日 22時) (レス) id: b56c38f9b7 (このIDを非表示/違反報告)
満月 - 成る程…ご丁寧な、説明有り難う御座います!垢が必要なのですね…残念です(泣)実は私、DSから来ていて…スマホ持ってないし…小学校((卒業したら..中学に行ったら買ってくれるので…それまでの辛抱かな…DSにメアドと無いし((それと、ひなs…良い人ですね(感動…) (2018年11月14日 22時) (レス) id: 62008578a5 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 満月さん» お支払いはクレジット決済かコンビニ・銀行での振り込みとなります。詳しくはpixivのboothの説明の方をご覧ください。それでもご不明な点ございましたら、またこちらかボードにお気軽にご連絡下さいね!お手数おかけしてしまい申し訳ありません(;;) (2018年11月13日 1時) (レス) id: b56c38f9b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひな | 作者ホームページ:https://twitter.com/pp__synd
作成日時:2018年9月14日 21時