ドキドキするのかわかんないサバイバル。【2】 (ページ4)

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誰に先を越されても。ページ4

「あの、跡部さん？」

もう一度跡部さんの方を見直し声をかけてみる。
跡部さんはハッとして、冷静になったかと思いきや、今度は自信満々な顔でフッと笑う。

跡部「顔赤いぞ」

「いや当たり前ですよ」

顔と鼓動は冷静ではないが、ツッコミだけはイヤに冷静さを保っていた。

跡部さんが頭の横にあった手を髪にのばし、鼻元に持っていこうとした

これって、忍足さんの…ってことは

私は空いていた右手をグーにし、跡部の腹部に向けて真っ直ぐ、スーっと。

打打打

跡部「ｸﾞｯ…おい」

「何するんですか！！！」

多分私の顔は今世紀最大に赤かったと思う。

跡部「忍足もやってたじゃねぇか」

「それとこれとあれとそれは別です！！！」

お腹を「打」したことにより、頭横に置かれていた手は離された。

少し不貞腐れならがら皆の元へ戻ろうとする私の背後から、跡部さん私の名前を呼んだ

跡部「A」

何も言わずジト目で振り返り、跡部さんの顔を見る。
少し複雑そうな、でも自信満々そうな、そんな顔で跡部さんは一言言った。

跡部「忍足に先越されたけどよ…お前、髪下ろしてんのも可愛いじゃねーの」

「し、知ってます、！！」

跡部さんをおいて管理小屋まで1人で駆け抜ける。
部屋に勢いよく入ると、彩夏とつぐちゃんから顔真っ赤だよ？大丈夫？！ととてつもなく心配された。
彩夏に関しては、夕食頃元気がなかったのも相まって風邪なのかと勘違いしているみたいだ。

「今日は寝る！！具合は大丈夫！！おやすみ！！」と有無を言われる前に布団に潜る。

顔の赤みは引かないし、心臓大暴れも収まらない。

同時に軽く後悔もあった。

あの時、何故素直になれなかったのだろう。

素直にありがとうございますって言えばよかったな。

気がかりなことも。

切原君に髪型を褒められた時の事だ。

あの時私はどうだったのだろうか。

冷静じゃない今の私に、到底その時のことを考える余裕なんて無かった。

それに跡部さん

切原君にも先越されてますよ

せめてもの抵抗だった。