ドキドキするのかわかんないサバイバル。【2】 (ページ23)

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海へ、【跡部景吾side】ページ23

浜辺で比嘉の奴らを見付けられたのはいいが、アイツらは俺が思っているより、俺に不信感を抱いていた。

怒りと、軽蔑の目が自分に向けられる。

木手「君達の好きにはさせない」

そう言って、比嘉中の奴らは救命ボートに乗り込み括りつけていたロープを解く。

まさかとは思ったが、本気で救命ボートでこの島から脱出を試みているようだ。
この島の周りの海流はかなり複雑に入り組んでおり、渦潮が出来やすい。
そのことを知っていた俺は、迷いなくもう1隻の救命ボートに乗り込み、奴らを追った。

そこで、俺はまた驚く。

Aも躊躇なく救命ボートに乗り込んできたのだ。

普通なら何が起こったか分からず中々動けないだろうに。

あまりにも危険すぎるため、今すぐ降りろと伝えるが…Aは降りなかった。

押し問答をしている時間などないため、やむ得なく救命ボートを進ませる。
このまま連れ帰って終わりかと思いきや、そんなに甘くは無かった。

比嘉中のボートの少し先に1つの渦潮が出来てしまった。

このままだと、呑み込まれる。

俺は、救命ボートに付いているロープに重りを付け、思い切り比嘉中ボートに向かって投げ込む。

流石の比嘉中もこの状況はマズいと思ったらしく、ロープを救命ボートに括り付けるが…

2隻でバラバラに漕がれたボートでは、やはり限界があった。
ボートは渦潮に近づく一方だ。

そんな時、Aが口を開く

「跡部さん、木手さんたちのボートをこっちに引き寄せて、こっちの船に移動して貰いましょう、あっちのオールとこっちのオールふたつ使えば逃げきれます」

比嘉中の奴らにもすぐに意図は伝わったらしく、木手、平古場…と順にボートに乗り込むが

救命ボートの突然の大きな揺れにより、甲斐がバランスを崩しかけたその瞬間

Aは勢いよく甲斐の方向に前進し、思い切り甲斐を救命ボートへとひっぱった。

甲斐は勢いよくボートに倒れ込んだ。

その瞬間から、俺の視界はスローモーションとなった。

Aが海に落ちた。

あいつの名前を思い切り叫び、オールを投げ捨て飛び込もうとしたその時。木手に思い切り止められたのだ。

木手は船に括られたロープを片手で掴み、海に飛び込む。

泳ぎが得意な木手が行った方が良いのは事実だ。

ボートが進みすぎない程度に漕いで調整する事しか出来ない自分に強く苛立ちを覚える。

A_____。