信 ページ21
お昼のミーティング後、比嘉中の人達ともう一度話をすべく離れロッジに向かった。
が…比嘉中の人達の姿は無く、離れロッジは既にもぬけの殻となっていた。
？「A？ 何をしている」
訳を聞くと、どうやら跡部さんも比嘉中の人達に用があったらしく、探している最中らしい。
辺りを見回す跡部さんの表情からは、かすかな焦りと、大きな呆れの様子が伺えた。
「私はこっちの方探しに行きます」
浜辺方面を指さし、歩き出す。
跡部「目的は同じだ、俺も行く。」
先程の出来事があってから跡部さんとの壁は厚くなってしまった。
自分の悪い癖でもある。
聞きたいことがあるなら、直接ぶつかりにいくべきだろう。
つい、考える事を優先してしまうのだ。
でも、何となく予感はしている、多分跡部さんはぶつかっても大丈夫だろう。
謎の信頼感と、跡部さんが握っている秘密に対する不信感が対立し、入り混ざっていた。
もう一度、言わなきゃ
「跡部さん」
跡部「何だ？」
「この合宿の事、聞きたいんですが」
跡部「何だ？」
「本当に何も隠してることないですか？」
跡部「あぁ。」
やはり、跡部さんは目を見て話さない。
それ程言いたくない事なのか…それとも…。
「じゃあこれだけ聞きますね、跡部さんなりの考えがあるんですよね？」
そう言うと跡部さん少し驚いた顔をして私の目を見る。
ﾌｯと笑いながら、あぁ。悪いな。と少し辛そうな表情で私に言うのだ。
その顔を見て私は、確信したと同時に詮索する事をやめた。
私が1番分かっているはずだ。この5日間で跡部さんがどんな人かが。
人によっては、たかが5日。
でも、されど5日でしょ？
「跡部さん、比嘉中の人達を探しましょう。私の憶測ですが、急いだ方がいいです。」
跡部「おい、待て。もういいのか？」
「何がですか？」
跡部「お前が聞きたいことはもういいのか？」
「跡部さんがわかりやすすぎるんですよ、気が済みました。」
跡部「ﾌｯそうか」
鉛は溶けて無くなり、軽くなったカラダで浜辺を走る。
ぐるんと一瞬するように浜辺を走っていると、その途中で比嘉中の人達の姿を見つけた。
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作者名：あぽろろろろろ | 作成日時：2021年11月6日 19時
