愛され黒くん (ページ43)

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｢俺、北斗無しじゃ生きられないの。｣

文字通りの、意味だった。

ここ数日、俺のドラマの撮影で立て込んでいて

食事を一緒に取ることもおろか

一緒にベットに入ることさえ

出来ていなかった樹の身体は

分かりやすく骨ばっていて

少し前には筋肉だってついていたのに

すっかり落ちてしまったようで

樹の腰に巻いた俺の腕も、

十二分に足りてしまっていて

この世の、樹、という存在の体積は

確かにここにあるのに、

このまま消えてしまうのではないかと言う錯覚。

それを酷く恐ろしく感じた。

気づけば頬を涙が伝っていて

樹の顔もぼやけて上手く見えない。

｢嫌だ、嫌だよ、樹…。｣
｢消えちゃやだ、居なくなったらやだっ…｣

そう子供が駄々をこねるみたいに泣きじゃくって

樹の肩に顔を押し付ける。

聞きたいことも言いたいこともあるのに

何一つ言葉になってはくれなくて

この気持ちを樹に伝えることだって出来ないから

それを涙に変えるしか無いみたいに

身体には涙を流す機能一つになった。

俺だって、樹が居ないと＿＿＿＿

｢…だから、北斗。｣
｢俺の事殺さないで。｣

これは縛りだ。

俺と樹の、約束という名の