. ページ40
｢＿＿＿で、その後は殴り合いの大喧嘩。｣
｢壁にめっちゃ穴開けて母さんにも怒られてさ〜。｣
｢ふふっ、慎太郎ってヤンチャだったんだね。｣
｢今はそんな感じしないでしょ？｣
｢ん〜、まあ。たまに機嫌悪い時の顔｣
｢ヤンキーみたいだなぁとは思ったけど｣
｢え、北斗の前でそんな顔した！？｣
｢なんかニュース見ながら怒ってた時あったじゃん。｣
｢あ〜…あれは、その、ね。｣
｢俺だったら生徒にそんな思いさせないのにって！｣
｢…慎太郎は、先生になりたかったんだっけ。｣
｢うん、昔はね。｣
｢今の仕事も勿論楽しいんだけど｣
｢偶に、先生になれてたらって考えるんだよなぁ。｣
｢きっと、…慎太郎は良い先生だろうね。｣
｢自分の事みたいに相手の事考えられるとこ、とか｣
｢そういうとこ…。｣
｢…俺もそれに救われてる、から。｣
｢へへ、北斗にそう言って貰えると自信持てるや。｣
こうやって二人で昔話に花を咲かせていると
いつもならもう深い眠りに
入っているような時間になっていた。
横になってさっきまで相槌を打ちながら
俺の話を聞いていた北斗もそろそろ眠気が限界みたい。
瞬きの回数が増えて、薄らと目を開けているような感じ。
なのにまだ話し足りないのか、
舌っ足らずに口を動かすから
赤ちゃんみたいですっごい可愛い。
まだ聞いていたいな、とも思うんだけど
明日は日曜日で二人ともお休みだし、
寝ていいんだよ、の意味を込めて
胸に北斗の顔を収めて背中をリズム良く叩く。
ぎゅうっと自分の服が握られたかと思えば
北斗はスヤスヤと寝息を立てていた。
ホント、可愛い。
可愛い可愛いってそれだけかよって
言われるかもしれないけど
北斗を表すのにこれ以上の言葉は無いんだよ。
何せ、好きだという感情に
気づくきっかけになったんだから。
俺は眠る北斗の頭に優しくキスを落として、
北斗とのこれからに夢を見た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 125人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あぽろ | 作成日時：2021年10月19日 23時
