愛され黒くん (ページ37)

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でもさ、

｢…北斗は俺が北斗とのこと｣
｢面倒くさがるような奴だと思ってるの?｣

そう思われているのが心外だった。

俺なりに大事に、大切にしてるつもりだったんだけど

あんまり伝わってなかったかな。

｢やっ、違…くて。｣

｢…慎太郎って所謂ノンケ、でしょ？｣
｢俺付き合ったりとかしてきたことないの、｣
｢同性愛者、だったからで…だから、その…｣

俺が今まで好きになったのは小柄で可愛らしい、

the女の子、みたいな子達で

比べたことなんてなかったけど

北斗とかけ離れているのは一目瞭然。

そもそも男の人を好きになったのは

北斗が初めてだ。

別に同性愛に偏見を持っているつもりは無かった。

一度、中学からの付き合いの友達に

同性愛者だとカミングアウトされた時

自分はおかしいのだと、自嘲する彼に

好きならそれでいいじゃんって

言ったら、なんか笑いながら泣いてしまって

少し、気持ちを楽にしてあげたかっただけの一言。

俺はそんなにできた人間じゃないから

そんな思い詰めるもんなんだなぁと、

どこか他人事だったんだと思う。

そんな俺はそういう友達が身近に居ても

自分とは違う感性があるんだと

否定もしなければ肯定もしないし、

ましてや自分もそうかもしれないなんて

考えたことさえなかった。

北斗に出会うまで、

将来は可愛い奥さんと

子供達と一緒に過ごしているもんだと

当たり前に思っていたし、

漠然と、そう信じて疑わなかった。