愛され黒くん (ページ12)

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｢いつもね、いわないけど｣
｢たろといるのすきなんだよ？｣

要するに仕事の忙しい俺を気遣ってくれていた北斗は

実は寂しがっていて

口に出さないけど俺との空間が好きだと思ってくれていたってこと？

それって、それってさ、

いや、まさか、ね

｢おれね？たろのことすきなんだぁ｣

好き…

｢ん〜？たろまっかだよ｣
｢りんごみたい｣

俺の頬に手が添えられて俺は思わず肩をびくつかせる。

｢いつもはかっこいいけど｣
｢いまのたろはかぁいいねぇ？｣

それは北斗のことだよなんて思うけど

今俺は気づいてしまった。

北斗のことを可愛いと思ってしまう理由を

｢たろぉ？｣

俺も

｢好きだよ、北斗のことが｣

｢…たろもおれのことすきなの？｣

｢うん、好き｣

｢うそだぁ｣
｢たろはおれのことなんかすきにならないよ｣

｢嘘じゃない｣
｢北斗のことが好きだよ｣

買い物に行けば北斗に似合いそうだなと

思って何となくその服を手に取ってしまうとか

外食に行って食べたご飯が北斗の好きそうな味だと

どういう味付けだろうって真剣に考えてしまうとか

朝、北斗の淹れた珈琲の匂いで目が覚めると

その日一日がいい日に思えるとか

なんでだろうなんて、考えたこともなかったけど

好き、だからなんだ。

｢りょーおもい、？｣

｢両想い、だよ｣

｢うれし…な｣

食事の前には例え誰も見ていなくても挨拶をする所。

冷たそうに見えて実は犬のドキュメンタリーを見たら

ものの数分で泣いてしまうくらい心が暖かい所。

仕事で余裕のない俺を包み込んでくれる所。

多分言い出したらキリがないくらい

北斗への想いが溢れてくる。

｢あのさ、ほく…｣
｢ははっ、寝ちゃったかぁ｣

俺が熱くなってきた頃にはもう北斗は夢の中で

何だか少し拍子抜けしてしまう。

上に被さるようにして眠る北斗のふわふわの髪を撫でて

額に優しくキスを落とす。

｢おやすみ、北斗｣