ゴースト・キャラメリカ【浦島坂田船】 (ページ7)

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屋敷の住民たちページ7

もしかしなくても私、今うらたさんにキスされてます？

そう気付いた瞬間ぐっと彼の厚い胸板を押し返そうとしたが、先程のセンラさん同様に全くびくともしない。そのまま数分キスされ続けてしまい、さっきの微睡みを揺蕩うような感覚が戻ってきてしまった。
何してくれてんですかこの人。

「うっわぁ〜……熱烈」

「こんくらいのキスでへばってんじゃねぇよお嬢ちゃん。鼻呼吸もできないのか？」

「あ、あんな、長い、キスなんて……！こちとら初めてなんですよ！」

「しらねぇよンなの。これから抱かれたりもするんだからこれくらい慣れとけよめんどくせぇ」

「あなた自分がどれだけ滅茶苦茶ヤバいこと言ってるか分かってます！？」

なんなんだこの狂った人たち！あのとき私を助けてくれた人と本当に同一人物か！？
内心荒れまくりな私である。こうなれば行動に移した方がいいに決まってる。
私は脱兎の如くその場から逃げ出した。先手必勝、逃げるが勝ちである。
不意に逃げを打った私に二人はポカンとしていた。ふふん。私を好き勝手にしてくれた暴漢どもめ。そう毒付きながら部屋の扉を開け放ち、飛び出したところで私は人の形をした壁にぶつかった。ふぎゃっ。

「わっ、なぁにこの子！めっちゃいい匂いやん！」

そんな明るい声が聞こえたかと思ったら、その人型の壁はむぎゅっ！と私に抱きついてきた。こうして私の逃走劇はものの3秒で失敗したのである。

「急に逃げ出すからびっくりしたわぁ……珍しくナイスやん坂田。」

「それな。珍しくな。」

「めちゃくちゃしつれいな事言ってへん！？僕だってやるときはやるもん！」

なんだこのあざといを具現化したみたいな人は。
見上げるとぷくっと膨らませた柔らかそうな頬っぺたが真っ先に目に入る。その次には真っ白な肌に映える燃えるような赤髪。くりっと大きい垂れ目気味の赤眼にふっくらとした柔らかそうな唇。
ストライプで濃い焦茶のスーツに、頭からにょきっと生える小さなツノ。背中には可愛らしい小さな羽が背中から離れてついている。

「ね、ね。きみお名前は？僕は坂田って言うねん！きみ、めちゃくちゃ甘い匂いする！美味しそうなにおい！」

あ、この人もヤバいやつだわ。
私は瞬時に悟った。