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「あっ！AAAーっ！やっと来た！」
センラさんの案内でダイニングルームらしき場所にたどり着いた瞬間、弾丸の如く私に向かって突進してくるスーツ姿の男。直にその弾丸を受けた私は「うッ！」っとガチめな悲鳴をあげてしまった。
「Aっ！Aっ！……んーっ、いい匂い……癒される……」
「コラ坂田。飯食う時くらい大人しくしなあかんで？ほこりたつやろ」
そう言って私に頬擦りする坂田さんを宥めたのは志麻さんだった。さっきのうらたさんに言われた、「まーしぃと仲良くしておいた方がいい」という言葉が蘇るが、やはりそう簡単にはいかない。彼の低く艶のある声は何もない状態で聞くと酔いしれてしまうほどイケメンボイスだが、銃を突き付けられた経験が警鐘を鳴らす。
「今日は羊肉のステーキな。お人形ちゃんにはガッツリかもしれへんけど、我慢してな」
お人形ちゃん……私のことだろうか？逆らうのが怖くてこくこくと頷くと、志麻さんはもう私に興味を失ったらしく、さっさと席に着いてフォークとナイフを準備している。
「Aはおれの隣ね！」
「えー、俺もAの隣がいいんだけど。」
「ンなしょーもない言い争いせんでええねん。A、俺の隣来ぃ？」
「もうお前らさっさとしてや……」
志麻さんは呆れたようにため息をついている。結局、私の一人で大丈夫だという意見は全く聞かれず、強引に坂田さんとセンラさんの隣に座ることになった。うらたさんは不満げだったが、センラさんの笑顔での圧に負けて大人しく志麻さんの隣に回った。
「じゃ、いただきまーす！」
綺麗なお皿には骨がついたステーキが豪快に乗っている。ソースはさっぱりとしていて、油が乗ったステーキによく合う。志麻さんは羊の肉だと言っていたが、どこから入手したのだろうか？もしかして狩ったのだろうか……
「うまー！ね、A、うまいな！」
「はい、そうですね」
「坂田、口の中に入れたまま喋んな汚い！」
ぎゃーぎゃー言い合う二人、に挟まれる私。
ご飯くらいゆっくり食べさせていただけませんか……
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作者名：くらげ。 | 作成日時：2021年11月5日 14時
