ゴースト・キャラメリカ【浦島坂田船】 (ページ11)

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モンスターとはページ11

あれから、うらたさんと志麻さんはさっさと部屋から出て行ってしまったが、何故か坂田さんとセンラさんは部屋に残ってニコニコしていた。坂田さんなんてさっきからずっと私に抱きつきっぱなしである。

「ねーねーAー。」

「なんですか、坂田さん……」

「A、しばらくここに住むならお部屋必要でしょ？ぼくの部屋にこない？Aのことぎゅーして寝たいねん！」

「貞操が危うそうなので遠慮します」

間髪いれずに断ると、坂田さんは「えーっ！？」と大袈裟に叫んだ。まるで断られた理由が分かってないようだ。信じられない。一方のセンラさんは、私たちのやりとりに楽しげにクスクスと笑った。

「大丈夫やでA。こいつまだ生まれて10年のガキやからそんな大層なこと出来ひんで。」

「ちょっ、せんらぁ！お前なんでそんなこと言っちゃうん！？」

センラさんの驚きのカミングアウトに、私は思わず「えっ！？」と声が出てしまった。それに対してキャンキャンと吠える坂田さんにセンラさんはどこ吹く風だ。
坂田さんは明らかに成人男性の身の丈がある。声だって低いし、なんならうらたさんや志麻さんよりも身長が高いのに、私の弟よりも歳がしたなのはにわかに信じ難い。

「淫魔ってのはな、親とかおらんから生まれた時から自分で食事せなあかんのや。だからそのためにこの姿のまま生まれてきて、その見た目のまま変わらへんねん。」

なるほど。と私は頷いた。あざといのは淫魔という種族ゆえかと思っていたが、坂田さんの場合は精神年齢が低いからという理由もあるのかもしれない。
坂田さんはバレたくない秘密をあっさりバラされて涙目だ。更にぎゅうっと抱きしめる腕に力を込め、上目遣いで私を見上げてくる。
…………いいえ？可愛いなんて思ってません。

「でもね？でもね？僕ね、ずっとはらぺこなの……Aにぎゅうしてたらちょっとだけましになるんよ……ね？おねがい……！」

うゆゆ、なんて効果音が付きそうな表情でおねだりする坂田さんだった。

「まぁ坂田諦め？……さぁA、今から部屋に案内しますから、こちらに。」

ふわり、と締め付けられていた体の解放感と同時に浮遊感、そして坂田さんの「あーっ！」という不満げな声を聞いて、やっと私がセンラさんに姫抱きにされていると気付いた。