自分のこと ページ10
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今日は裕一郎と同じ現場。雑誌の撮影でスタジオに来ている。メイク室は別々で撮影の時間になったら対面する。
自分でするメイクより、やっぱりプロの人にやって頂くのが一番いい。裕一郎の隣に立って恥ずかしくない女でいたい。衣装も着替えてスタジオに入った。
「沖田さん入られまーす」
『よろしくお願いします〜』
スタジオに入ると裕一郎はまだいなくて、私の撮影が先になった。撮られるのはそんなに得意じゃない。けど今日は調子が良いらしい。
「沖田さん綺麗だね〜可愛いよ!」
『あはは…そうですか…』
「うんうん!はいOKです!」
『ありがとうございました』
「写真チェックお願いします」
『はーい』
モニターに映った自分を見ていたら入口から「梅原さん入られまーす」と聞こえた。そのあとすぐ低い声で「お願いしまーす」と裕一郎の声。
チラッと目を向けたらいつも以上にかっこいい男がそこにいた。
『えっ…』
「どうしました?」
『や、何もないです!ありがとうございました!』
「じゃあ梅原さん終わるまで待機でお願いしまーす」
『分かりました…』
撮影スタジオの後ろの方で見学する。かっこよすぎるな…
今回のコンセプトが黒を基調としていて、私は黒のドレスで裕一郎はスーツ。この後隣に立つのか。大丈夫かな、息荒くなっちゃいそうなくらいかっこいいんだけど。
「お疲れ様でした!一旦休憩して再開後はツーショット入りますね」
「ありがとうございましたー」
撮った写真見ます?とスタッフさんに聞かれたのに「あ、大丈夫です」と言って私の方に来た。
「お疲れ」
『お疲れ様。写真見なくていいの?』
「うん。興味無い」
『またそんなこと言って。見てきていい?』
「駄目。休憩だろ」
『もう〜』
歩き出そうとしたら私の手を繋いでまで引き止めてきた。隣に戻って他愛もない話をする。
「丈短いな、それ」
『ん?ああ、ちょっとびっくりしたけど綺麗だよね』
「似合ってる。買い取ったら?」
『着る機会無いしいいよ。裕一郎もそれ似合ってるね。かっこいいよ』
「ふーん」
『興味無さそう過ぎ』
自分のことに対して本当に興味がなさ過ぎるこの男。そういう所がかっこよくて大好きなんだ。
繋がれた手はそのままに、休憩時間がただひたすら過ぎていった。
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N(プロフ) - 完結おめでとうございます!いつも楽しく読ませていただいてます。次回作も楽しみにしてます!! (2021年5月24日 0時) (レス) id: 8ca26ff974 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:p@n@ | 作成日時:2021年5月4日 0時