抱き枕 ページ21
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今日は打ち上げ。少し離れた席にいるAは酒を飲んでて顔が赤くなっている。自分は烏龍茶を飲みながらそれを眺めていた。
「めっちゃ見るじゃん」
「…あ?」
「いや、Aちゃんのこと」
「監視だよ監視」
隣に座っていた八代に言われた。
「Aちゃん顔赤くて可愛いね」
「うるせえよ、分かってるよ」
「さっきから喧嘩腰なのなんで?あ、こっちくる」
Aの隣に座っていた監督が、トイレなのか席を立ってどこかに行った。それと同時にAもこっちのほうに歩いてきた。
「どうした?」
『かえりたい…』
「え?」
「Aちゃん何かあったの?」
「眠くなっちゃった?」
『うん…』
目を擦りながら隣に座って、こてんともたれかかって来た。こんなの可愛すぎる。なんで家ではやらないのに外ではこういうことするんだよ。
「うわあ…可愛い…Aちゃん可愛い」
「見んな。もう帰るか?」
『うん…』
「ごめんだけど俺ら帰ったことバレないようにしててくれない?」
「えっそれ難しくない?一気に二人消えるんだよ」
「なんとかなる、じゃ、お疲れ」
『拓くんお疲れ〜』
「お、お疲れ〜」
八代には申し訳ないけど、二人でこっそり抜け出して外に出た。その辺を走ってたタクシーを掴まえて帰った。
「はい着いたよ」
『ありがとう〜…疲れた…』
「監督と何喋ってたの?」
『ほとんど下ネタで最悪だった。なんでおじさんの下ネタとか聞かなきゃいけないの』
「それは最悪だな…!」
自分が普段下ネタを言いまくってるから、人の事は言えないけどオッサンの言う下ネタほど下品なものはない。
『裕一郎が言ってるほうがまだ100倍マシだよ』
「そうか」
『今日はメイク落として寝よう…』
「そうしな、明日でいいよ風呂は」
ソファーから立ち上がったAはそのまま洗面所に行った。
『なんか酔った〜…』
「え?」
『もう立てない…つかれた…』
「そこで寝転ぶなよ、ほら、ベッド連れてくから」
『抱っこ…』
「するする」
顔を洗って戻ってきたAがリビングの入口で座り込んでしまった。持ち上げてベッドまで運んだら、グイッと手を引かれて一緒に寝転んだ。
「俺も顔くらい洗いたいんだけど」
『やだ…もう寝るの…』
「うん、寝な」
『今日は裕一郎のことぎゅってして寝る』
「ん、おいで」
『ふふふ、おやすみ』
「おやすみ」
抱き枕みたいに抱き着いてきて寝た。身動き取れないけどそれでいい。
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N(プロフ) - 完結おめでとうございます!いつも楽しく読ませていただいてます。次回作も楽しみにしてます!! (2021年5月24日 0時) (レス) id: 8ca26ff974 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:p@n@ | 作成日時:2021年5月4日 0時