- ページ9
.
1週間ってこんなに長かったっけ…?
タイミングを見計らって、あの手この手で宇髄を誘惑してみたものの、全く引っ掛かってくれない。
どんなにおねだりしようが、キス止まりなのだ。
でも知ってる。
宇髄の方も、そろそろキツくなってきた頃だって。
あんなに余裕の表情を浮かべている裏で、胸の方まで伸びかけた手を下ろしたのを、私は気付かないフリをした。
『あ〜、1週間長すぎだよ…』
「ちゃんと我慢してんだな。エライエライ。」
雑に頭を撫でるその表情は、少し満足げだ。
「明日はじっくり可愛がってやるよ。」
『そうして貰わないと、惚れるどころか嫌いになりそう。』
「おー、それはマズい。」
身体の相性が良かったからって、惚れるとなれば話はまた別だ。
容姿は文句なし、性格も特段これと言って減点になるところはない。
でも、好きなのかと聞かれると、人間的にはYESだが、男性的にはYESと言いきれない。
勿論、NOでないことは確かなんだけど。
「そういやさ、Aはいつになったら俺のこと、
下の名前で呼んでくれんの?」
『えー?宇髄じゃダメ?』
「ダメじゃねーけど、色気なくね?」
まー別にいいけど。ってほら、こっちが言う前に突き放すような言い方しちゃって。
諦めが早いというか何というか。
もう少し、有無を言わさずな感じで来てくれたら、素直に呼んであげるのに。
『てんげん…?』
突然のことに元々大きな瞳を更に見開いた彼は、珍しく頬を染めて、口元に手をやった。
演技なんかではない、本気で照れているヤツだ。
『え?もしかして、照れてる?』
反応を楽しむようにその顔を覗き込めば、ものすごい勢いですっぽりと胸の中に収められてしまい、身動きができない。
「急にそれはやべーわ。破壊力ありすぎ。」
熱でもありそうなほど熱い腕の中で、身体に纏わりつくのはタバコの匂いとサンダルウッドの落ち着く香り。
『1週間生殺しとか、変なルール作るからだよ…』
「ま、それも明日までだから。」
すぐに落ち着きを取り戻した宇髄は、私の額にキスを落とした。
『ここまできたら平気よ。
逆に宇髄こそ、フライングしないでよ?』
「あ…呼び方、戻ってる。」
残念そうな顔をした宇髄に、私は挑戦的な笑顔を向けた。
『宇髄に惚れた時に、呼んであげるよ。』
.
170人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
羽糸(プロフ) - cocoaさん» コメントありがとうございます!!私も書いていて楽しすぎました(笑)天元ならではのラブゲームだったかな、と思ってます!また読みに来てくださいね🍰🍰 (2021年11月5日 8時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - ひよさん» ありがとう!!こんな彼がいたら実際ゲームどころではないよね…ひよちゃんをドキドキさせられて嬉しい!私は満足です!!!実弥さんの方はじっくり書いてますが、なかなかムズカシイ!ひよちゃんの新作も楽しみにしております🥰🥰 (2021年11月5日 8時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa(プロフ) - 読んでいて、楽しすぎました‼︎こんなラブゲーム、天元とならしてみたい笑 今後も楽しみにしてます(^^) (2021年11月4日 15時) (レス) @page23 id: e19d285429 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 完結おめでとうございます!! てんてんの包容力と器の大きさに溶かされました。いくつかのセリフも刺さった……終始ドキドキさせてもらったラブゲーム、ご馳走でした!! 実弥さんの方も、マイペースで頑張って下さい!! (2021年11月4日 10時) (レス) id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - すみっことかげさん» コメントありがとうございます!余裕たっぷりの天元、最高ですよね!こんないい男いたら即惚れますわ…(笑) (2021年10月31日 15時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:羽糸 | 作成日時:2021年10月28日 20時