A piece of cake!!【宇髄天元】

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『え、なんで？ダメなの？』


全く意味がわからなくて、宇髄のワイシャツを軽く引っ張った。




「あー、とりあえず1週間は抱かねーつもりだから。」



ガシガシと頭をかく宇髄が何を考えているのか、本当に理解出来ない。



『なんで？』


「なんか、それありきみたいで嫌じゃね？
　どうせならもっと派手に恋愛楽しみたいじゃん。」



恋愛を楽しむとは…？
それは、お互いの身体の相性確認して、とことん楽しむことなんじゃないんですか、宇髄天元くん。


『なんで……』


「出た、やだやだ病のなんで虫。」


『なにそれ？』


訝(いぶか)しげに眉を寄せたところに、触れるだけの優しいキスを落とした彼は、にんまりと笑う。


「俺の可愛い彼女の別名？」


『いや全然可愛くないわ、その別名…』


そう言うと、何故だか私も口元が緩んだ。




再び歩き出したふたつの影を眺めながら、確かめるように私はもう一度宇髄に問いかけた。




『ねぇ…本当に1週間、シないの？』


「しねーよ。手ぇ出しま宣言！」


誓いまーす、と戯(おど)ける宇髄は楽しそうだが、こっちはちっとも楽しくない。



『うわ、つまんな…
　他の男のとこ行っちゃっても知らないよ？』



脅しのつもりだった。


半分嘘で、半分本気の発言に狼狽(うろた)える宇髄が見たかったから。



「まあまあ、騙されたと思って従ってみてよ。
　我慢したこと、後悔させないからさ。」



期待をことごとく裏切る男。

こんなにも思い通りにいかないのは、初めてだ。



『へぇ…随分と余裕じゃん。
　でも、私は言ったよ？もう知らないからね？』





2度目の念押しは、8割が本気だった。





それなのに彼は……







「それで他所の男に靡いたら、それは俺の落ち度だよ。」






堂々たるその自信に、私はそれ以上言い返すことは出来なかった。







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