How can I resist you? ページ6
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宇髄に連れられてやって来たのは、なんてことない、ただの大衆居酒屋だった。
あー、とりあえずお酒を挟むパターンか。
意外と勿体ぶるタイプなんだね…
たまにはそういうのも悪くない。
チェーン店の居酒屋ってあたりがムード台無しだけど。
不服そうな私に気付いたのか、宇髄は私にメニューを渡して一言、「好きなだけ頼んでいいぞ。」とニカッと笑った。
…違う、そういうことじゃない。
悔しいから、手当たり次第値段も見ずに注文してやった。
「『かんぱーい。』」
ゆるい雰囲気でスタートした飲み会は、何の回り道もせずに核心に触れる。
『ねー、この後は?』
「気が早ぇんだよ、そんなに溜まってんの?」
宇髄のご指摘の通り。
確かに今まで、来るもの拒まずではあったし、気持ちいい事は嫌いじゃないけど、こんなに自ら求めることはしてこなかった。
『分かんない。でもなんか落ち着かないっていうか。
付き合うってどんな感じだっけ?って思ってる。』
「Aらしいっちゃ、らしいな。
まあこれからゆっくり思い出せば良いんじゃね?」
けらけらと笑うその余裕を今すぐにでも壊せたら、この勝負の主導権は私になるのに。
私はきっと焦っているんだと思う。
『…やだ。』
「何がよ?」
『ゆっくりとか私には向いてないもん。』
あーそう、とだけ返した宇髄は、おかわりのビールを2杯注文した。
§
なんだかんだでいつものごとく2時間ほどの楽しい飲み会を終えた私たちは店を出て歩き始めた。
確実に向かっている方向は駅で、ホテル街とは逆方向だ。
『宇髄、どこ向かってる…?』
「家だけど。」
いや待て、せっかくセーブして飲んでいた私の努力を無駄にしないで欲しい。
『え……やだ。』
ぴたりと足を止めた宇髄が私を見下ろす。
その表情は子供をあやすような甘く優しい表情で、少しだけ酔いが回った。
「それ、わざと?」
『なにが…?』
“それ”が何を指しているのか、本当に分からなかった。
首を傾げて見上げれば、宇髄はマジか…と零した。
「やだやだ病。可愛すぎんだけど。」
困ったように笑う宇髄の顔が、冗談を言っている訳ではないことを物語っていた。
先ほど回り始めた酔いが、急激に加速する。
顔は熱いし、鼓動も早い。
「俺大丈夫かなぁ…
気ぃ抜いたら今すぐにでも抱いちゃいそう。」
…
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羽糸(プロフ) - cocoaさん» コメントありがとうございます!!私も書いていて楽しすぎました(笑)天元ならではのラブゲームだったかな、と思ってます!また読みに来てくださいね🍰🍰 (2021年11月5日 8時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - ひよさん» ありがとう!!こんな彼がいたら実際ゲームどころではないよね…ひよちゃんをドキドキさせられて嬉しい!私は満足です!!!実弥さんの方はじっくり書いてますが、なかなかムズカシイ!ひよちゃんの新作も楽しみにしております🥰🥰 (2021年11月5日 8時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa(プロフ) - 読んでいて、楽しすぎました‼︎こんなラブゲーム、天元とならしてみたい笑 今後も楽しみにしてます(^^) (2021年11月4日 15時) (レス) @page23 id: e19d285429 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 完結おめでとうございます!! てんてんの包容力と器の大きさに溶かされました。いくつかのセリフも刺さった……終始ドキドキさせてもらったラブゲーム、ご馳走でした!! 実弥さんの方も、マイペースで頑張って下さい!! (2021年11月4日 10時) (レス) id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - すみっことかげさん» コメントありがとうございます!余裕たっぷりの天元、最高ですよね!こんないい男いたら即惚れますわ…(笑) (2021年10月31日 15時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羽糸 | 作成日時:2021年10月28日 20時