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『………仕事戻る。』


分厚い胸板を押しやって、私はドアへと一目散に足を早めた。
宇髄の顔は見れない。
見てしまったら、もうとっくに終わっている昼休みが更に延びてしまうだけだ。



「おう。じゃ、また。」


『うん…一応、夜は空いてるけど。』


「あー、連絡するわ。」




ぎこちない会話がもどかしい。

きっと今、お互い考えていることなんて同じだろうに。









§







その日の午後は、いつも以上に早く仕事を終わらせたいのに心が落ち着かなくて、全くと言って良いほど仕事に身が入らなかった。



あれだけ焚き付けられたら、その気にならない方がおかしい。



これまで自分が(たぶら)かしてきた男たちも、こんな気持ちで私とお酒を飲んで、その時を待ち侘びていたのだろうか。



そう思うと、なんか悔しい。
勝負はまだ始まったばかりなのに。





定時まであと少しに迫った頃、社用のスマホのディスプレイには宇髄からのメッセージを知らせる通知が表示されていた。



“どんな感じ?”


短調なメッセージはいつもと変わらない。


今日はもう諦めたからいつでも帰れる、と返せば、間髪入れずに“了解(笑)”とだけ返信が来た。



定時とともにPCをシャットダウンした。



パタン、と閉じたノートPCの音が夜の始まりの合図かのように鞄を肩に掛けて事務所を見渡せば、少し離れた席から立ち上がった宇髄がゆっくりと私の方へと歩いてきた。



「それじゃ、行きますか〜。」



ニヤリと笑ったその横顔は本当に憎たらしいほど整っていて、過去の経験から計算し尽くされた歩幅は、どこまでも私を置いていくことはない。



宇髄は私のことを彼女としてどう愛でてくれるのだろう。



考えただけで興奮にも似た好奇心が膨らんでいくのが分かった。








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設定タグ:鬼滅の刃 , 宇髄天元   
作品ジャンル:恋愛
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羽糸(プロフ) - cocoaさん» コメントありがとうございます!!私も書いていて楽しすぎました(笑)天元ならではのラブゲームだったかな、と思ってます!また読みに来てくださいね🍰🍰 (2021年11月5日 8時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - ひよさん» ありがとう!!こんな彼がいたら実際ゲームどころではないよね…ひよちゃんをドキドキさせられて嬉しい!私は満足です!!!実弥さんの方はじっくり書いてますが、なかなかムズカシイ!ひよちゃんの新作も楽しみにしております🥰🥰 (2021年11月5日 8時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa(プロフ) - 読んでいて、楽しすぎました‼︎こんなラブゲーム、天元とならしてみたい笑 今後も楽しみにしてます(^^) (2021年11月4日 15時) (レス) @page23 id: e19d285429 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 完結おめでとうございます!! てんてんの包容力と器の大きさに溶かされました。いくつかのセリフも刺さった……終始ドキドキさせてもらったラブゲーム、ご馳走でした!! 実弥さんの方も、マイペースで頑張って下さい!! (2021年11月4日 10時) (レス) id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - すみっことかげさん» コメントありがとうございます!余裕たっぷりの天元、最高ですよね!こんないい男いたら即惚れますわ…(笑) (2021年10月31日 15時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:羽糸 | 作成日時:2021年10月28日 20時

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