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……………………あれ?
ゆっくりと目を開ければ、意地悪く笑う宇髄の顔が目の前にあって、恥ずかしさと悔しさと色んな感情が私の胸の中でざわめいた。
『あーもう、本当ムカつく…』
投げやりにそう言い捨てて、宇髄のネクタイを軽く引いた。
少しばかり近づいたその唇に、無理矢理自分のソレを重ねてすぐに離した。
「案外可愛いとこあんね。」
私はその時気付いていなかった。
既に私の体は宇髄によって自由を奪われていたことを。
がっちりとホールドされた体は再び宇髄に引き寄せられ、浴びせられたキスの嵐。
身体中に電流が走ったかのように、痺れて、疼いて、自分が自分でなくなるような感覚が私を襲った。
ゆっくりと離れた濡れた唇が、生々しく艶めく。
面白い勝負になりそうだ。
きっとお互いそう思ったに違いない。
自然と絡まった視線が熱を帯びて、私たちは無言でまたお互いの唇を貪った。
首筋、肩、背中、腰、とゆっくりなぞるように動く指先がもどかしくて仕方ない。
「まだチューしかしてねーのに、やらしー顔しやがる。」
そう言う宇髄だって、めちゃくちゃ色っぽい顔つきしてるじゃん……なんて、絶対に言ってやらない。
『あー、仕事じゃなかったらこのままホテル直行なのに。』
私の一言に宇髄は私の肩に頭を乗せた。
「バッカお前…それじゃただのセ○レだろ。
ったく、本当色気のねー奴。」
『あーそっか。彼氏(仮)だったわ、そういえば。』
あはは、と私は乾いた笑いを浮かべた。
「お前なぁ…
“そういえば”とか言ってられんのも今のうちだぞ?」
『はいはーい。
てか、さっきから彼女に向かって“お前”は無いと思いまーす。
女の子のこと“お前”って言う男は嫌いでーす。』
意義有り、とばかりに挙手した私の頭を撫でた宇髄は、そのままそっと私の耳元へ唇を寄せた。
「ごめんな、A。
…これでいい?」
息が止まるような感覚と内から漏れ出す熱気が、もう後には引けない遊びに手を出してしまったことを形容していた。
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羽糸(プロフ) - cocoaさん» コメントありがとうございます!!私も書いていて楽しすぎました(笑)天元ならではのラブゲームだったかな、と思ってます!また読みに来てくださいね🍰🍰 (2021年11月5日 8時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - ひよさん» ありがとう!!こんな彼がいたら実際ゲームどころではないよね…ひよちゃんをドキドキさせられて嬉しい!私は満足です!!!実弥さんの方はじっくり書いてますが、なかなかムズカシイ!ひよちゃんの新作も楽しみにしております🥰🥰 (2021年11月5日 8時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa(プロフ) - 読んでいて、楽しすぎました‼︎こんなラブゲーム、天元とならしてみたい笑 今後も楽しみにしてます(^^) (2021年11月4日 15時) (レス) @page23 id: e19d285429 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 完結おめでとうございます!! てんてんの包容力と器の大きさに溶かされました。いくつかのセリフも刺さった……終始ドキドキさせてもらったラブゲーム、ご馳走でした!! 実弥さんの方も、マイペースで頑張って下さい!! (2021年11月4日 10時) (レス) id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - すみっことかげさん» コメントありがとうございます!余裕たっぷりの天元、最高ですよね!こんないい男いたら即惚れますわ…(笑) (2021年10月31日 15時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羽糸 | 作成日時:2021年10月28日 20時