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静かに目を覚ました朝は、ずっしりと肩に乗った温かな重みとともに1日の始まりを告げる。
宇髄の奴、本当に一晩中抱きしめてたんだ…
なかなかやるじゃん、なんてモゾモゾと動いて、寝顔を確認しようと腕の中からひょっこり顔を出せば、そこには文句のつけようもない百点満点の寝顔が。
あの状況で結局理性を保った宇髄って、もしかすると類稀なるいい男なのかもしれない。
もしくは、私に相当魅力を感じていないか……
宇髄のことだから、きっと昨日の困り顔だって、演技とも限らない。
『ねぇ、本当に心揺さぶられなかったの…?
ずるい男だね、宇髄は。』
あーなんか…完璧すぎる寝顔見てたらムカついてきた。
スッと通った鼻筋を撫でて、思いきり鼻を摘んでやる。
ピクリと肩を跳ねさせて、目を覚ました宇髄に笑いかける。
『おはよ。朝だよ。』
「…はよ。
体調は?お腹痛くしてない?」
『うん、大丈夫。』
「そ。よかった。」
寝ぼけた様子でいつもより舌足らずに喋る宇髄に、私は絶句した。
え、ちょっと待って。
起き抜けの第一声がそれっていくらなんでも完璧すぎません?
宇髄天元という人間を形成したこの世に天晴れ。
こんな模範回答みたいな男を育てた親の顔が見てみたいくらいだ。
今までの男たちは寝ればそれで終わりだった。
どんなに乱暴に抱かれようと、身体を気遣われたことなんて一度もない。
それなのにこの男ときたら…
そもそも抱かれてもいないじゃないか。
いくら落とすためとはいえ、いつになったらその完璧な仮面を取るのだろうか。
『………帰る。』
「え?もっとゆっくりしていけよ。」
ブンブンと首を横に振って私は温かな朝の幸せからするりと抜け出した。
あぁ、こういうシーン、何かのドラマでも観たような。
今ならヒロインの女性の気持ち、凄く共感する。
その後、追いかけるようにして起きてきた宇髄に土日の予定を聞かれたが、予定があるとだけ伝えて、逃げるようにして部屋を出た。
勿論、予定なんて無い。
強いて言うなら、先々週から観れずに溜まった
とは言っても、まだ勝負は折り返し地点。
ここで負けるわけにはいかないのだ。
だから、私は宇髄の部屋を飛び出した。
あのままあの空間にいたら、きっとこの勝負の勝敗は自ずと決まってしまいそうだったから──
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羽糸(プロフ) - cocoaさん» コメントありがとうございます!!私も書いていて楽しすぎました(笑)天元ならではのラブゲームだったかな、と思ってます!また読みに来てくださいね🍰🍰 (2021年11月5日 8時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - ひよさん» ありがとう!!こんな彼がいたら実際ゲームどころではないよね…ひよちゃんをドキドキさせられて嬉しい!私は満足です!!!実弥さんの方はじっくり書いてますが、なかなかムズカシイ!ひよちゃんの新作も楽しみにしております🥰🥰 (2021年11月5日 8時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa(プロフ) - 読んでいて、楽しすぎました‼︎こんなラブゲーム、天元とならしてみたい笑 今後も楽しみにしてます(^^) (2021年11月4日 15時) (レス) @page23 id: e19d285429 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 完結おめでとうございます!! てんてんの包容力と器の大きさに溶かされました。いくつかのセリフも刺さった……終始ドキドキさせてもらったラブゲーム、ご馳走でした!! 実弥さんの方も、マイペースで頑張って下さい!! (2021年11月4日 10時) (レス) id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - すみっことかげさん» コメントありがとうございます!余裕たっぷりの天元、最高ですよね!こんないい男いたら即惚れますわ…(笑) (2021年10月31日 15時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羽糸 | 作成日時:2021年10月28日 20時