「兄さん、この人苦手です」【ONE PIECE】 (ページ6)

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六話ページ6

「えー！サンジもう帰るの！？」

「おう。これからバイトだからな」

「えー…私もサンジのとこでバイトしよっかな」

「おいA。バイトは許さねェぞ」

兄さんにぐい、と引き寄せられて溜息を吐く。ほんとにこの兄は過保護だ。サンジも呆れた様に兄さんを見てから私の頬を引っ張る。う、いたい。

「バイトしたら俺やナミさんとかと遊ぶ時間減るけどいいのか？」

「んー。あ、でもサンジとは一緒に居れるじゃん」

「…ッあーー！天然怖え！くそ、俺はもう行くけどテメーら手ェ出すなよ！マリモにトラ男！」

顔を真っ赤にして家を飛び出すサンジに兄さんは煩ェ、と眉を顰める。隣のローさんは私にどういうことだと言わんばかりの顔を向けていた。

「ローさん？」

「どういうことだ。…手を出すだと？ゾロ屋はお前の兄妹じゃねェのか」

「…えーと。血は繋がってないからじゃないですかね？サンジがあんなこと言ったの」

「………は？」

初めて聞いたというリアクションのローさんに兄さんを見ると、言うの忘れてた、と呑気に呟いていた。
…もう、ほんとに兄さんは時々抜けてるんだから。

「去年、両親が再婚したんです。それで兄妹に。ね、ゾロ？」

「兄さんって呼べって言ってんだろ。名前で呼ぶな」

「もーなんでそんなに名前で呼ばれるの嫌なのよ」

「…それが唯一のストッパーだからだ」

ボソ、と兄さんが顔を晒して言うのとローさんが私の顔をがしっと掴んだのはほぼ同時だった。
びっくりしてローさんを見ると、背後に黒いオーラが見えそうな位恐ろしい顔をしている。こ、こわいんですが。

「テメェ危機管理能力はねェのか」

「…へ？」

「さっきゾロ屋に薄っぺらいシャツで抱きついてただろ。その後も膝の上に乗っかったりべたべたとくっつきやがって。兄妹だからと黙認していたが血が繋がってねェだと…？ふざけんな、犯すぞお前」

「ひゃい…っ！？」

物凄い低い声で何かを言うローさんにびくりと背中が震える。何を言ってるか分かんなかったけど恐ろしい事を言っているのは確かだ。涙目でローさんを見上げると、う、と呻いて固まった。

「…その顔もだ。誘ってるのかテメェ…」

「だ、だから何言ってるんですか！もう離して下さい、ローさんのばか！こわいです！」

「…ゾロ屋。テメェもだ。つーか親は何も言わねェのかテメェらの距離に！」

「…あー。先月から親父の単身赴任に母さんも着いてってるから居ねェんだよ」

さっきより恐ろしい顔になったローさんを見て私は今度こそ恐ろしさで失神しそうになった。