「兄さん、この人苦手です」【ONE PIECE】 (ページ4)

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四話ページ4

「違え。ここはその公式じゃねえって何度言ったらわかんだ」

「でもローさん。答えだとこの公式ですよ」

「こっちでやった方が時短出来るだろ。頭を使え」

ぐしゃぐしゃと頭を撫でられて思わず笑ってしまう。この人の手、兄さんみたい。兄さんはこんなに頭良くないけど。

「…なに笑ってる。もっとぐちゃぐちゃにされてえのかよ」

「い、いえ。兄さんの手みたいだなって。剣道やってるんですか？ローさんも」

「…ああ。やってるが。手だけで分かるのか」

「はい。剣道やってる人の手って少しごつごつしてるので。ほら、ローさんの手も」

ローさんの手を両手で掴んでするりと撫でる。あ、やっぱり兄さんと同じ感じだ。…というか男の人の手ってこんなに大きいんだなぁ。掌を合わせて指を組むと全然大きさが違うのが分かる。しばらくそうしているとローさんが低く唸った。

「…ッ。誘ってんのかテメェ」

「へ、さ、さそう？」

「…無自覚かよ。クソ、おい。コイツはいつもこんな感じなのか」

不機嫌そうな声でそうサンジに聞くローさんに首を捻る。え、何かした？サンジもサンジで呆れた顔しないでよ！

「その度に俺が追い払ってんだよ。…テメエも手出すんじゃねーぞ」

「…さあな」

「おい！！」

犬みたいにローさんを威嚇するサンジにけらけら笑っているとローさんに腰を掴まれて引き寄せられる。
…だからどうして男の人は腰を掴むのかな。ローさんの手を払って睨む。

「セクハラですローさん」

「…腰を掴むのは駄目なのか。面白い女だな、お前」

「だから何を言ってんですか。それよりローさん。ここ分かりません」

「ッ。お前ここさっきも教えたぞ。…兄弟揃って阿保なのか」

「に、兄さんよりは頭良いです！」

はあ、と溜息を吐かれてムッとする。サンジにも呆れた様な声でここ何度目だと馬鹿にされて少し落ち込んだ。だって分からないんだもん。そう口を尖らせて見るとサンジは顔を真っ赤にして目を逸らした。

「か、可愛い顔しても無駄だからな！」

「可愛い顔…？ローさん、コイツが何言ってるのか分かりますか」

「……ああ。分かってねえのはお前だけだ」

…これは本当に私が馬鹿なのかもしれない。本格的に落ち込み始めた私にサンジが自分の分のケーキを私の口に入れてくれた。…うむ、美味しいから許す。

「…お前が甘やかすからこんな天然キラーになっちまったんじゃねえか」

「…それは否定出来ねえ…」

いつの間にか仲良くなった二人に私は満足気にケーキを飲み込んだ。