十四話 ページ14
「やっと…！やっと終わりましたよローさん！」
「遅い。何時間待ったと思ってるんだ」
「少しは褒めて下さい！」
「…仕方ねェなご褒美だ」
ぽん、と掌に何か乗せられた。それは可愛らしいパッケージの箱でケーキと書かれている。思わずえっ、とローさんの顔を見ると優しい顔をしていたのでまた感動した。
「こんな気遣いが出来るなんて…！」
「いらねェなら返せ」
「ありがとうございます！」
奪われる前に慌てて箱を開けてケーキを取り出す。しっかり二つ入っていて嬉しくなった。ふふ、ローさんも一緒に食べてくれるんだ。でも甘い物はあまり好まないのか、抹茶のケーキをチョイスしている。
「すごく美味しいです！さっき出掛けてたのはこれを買いに行ってたんですか？」
「…ああ。お前の家に来る途中にケーキ屋があったからな」
「これでドSじゃなかったら完璧で、う、いひゃいやめひぇくらさい」
「一言多い」
不機嫌そうに眉を寄せたローさんに頬を引っ張られた。冗談ですってば、とへらへら笑うと何笑ってる、と睨まれる。それは理不尽過ぎませんか。
「この後何しますか？」
「…別に何もしなくていいだろ」
「えー。…じゃあお昼寝でもします？ローさん、睡眠時間短いって言ってたし」
「……だから少しは危機感を持て…！」
溜息を吐くローさんの背中をぐいぐい押してベッドまで誘導する。その間、おい、とか待て、とか言ってたけどもう決定事項ですから。ニコニコしながらどうぞ、と声を掛ければ渋々といった形でローさんはベッドに腰掛けた。
「本気かお前…」
「はい！私も寝ますから！」
「……は！？」
ギョッとしたようにこちらを見るローさんにさあさあと肩を押せば諦めたように横になってくれた。その横にぽすんと私も身体をおさめて眠る体勢を取る。
「…ローさん眠れそうですか？」
「ああ。諦めたら眠くなって来た」
「…へへ、良かったです。おやすみなさい」
そう私が小声で言うとローさんは私の髪をする、と撫でて背を向けた。抱き枕は要らないんですか？とからかいまじりに言ってみたら恐ろしく低い声で、襲われてェならそう言え、と言われて渋々黙る。
「…なんか…私も眠くなってきちゃったな…」
うとうととしているとふわ、と何かに包まれる感触がした。頑張って目を開けると目の前にはローさんの首元が見える。…結局抱き枕にされるんですね、と言おうとしたけど心地よい睡魔に襲われて私は目を閉じた。
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作者名：マピト | 作成日時：2020年9月21日 20時
