支度 ページ18
五条side
?「悟様!お久しぶりです…今日も素敵でいらっしゃいますね…ご連絡いただけましたらきちんとお迎えいたしましたのに!」
甲高い声で僕にすり寄るこの女は昔から嫌いだ。
勝手に婚約者気取りで、我儘し放題。この家も大変だよね。
「ユリコさん、まあ、Aさんのついでで、明日は仕事だし気にしなくて大丈夫だよ。」
優瓈子「…お優しいのですね、わざわざ愚妹の為に。」
露出させるところをしっかりアピールしてくる。
そこだけは立派にたわわでいらっしゃる。…じゃなくて。
本当に同じ母親から生まれたのかと疑問になるほど、この姉妹たちは似ていない。
顔じゃなくて、性格が。
ユリコさんの後ろに控えているのは三女の…キエさんだったかな。
顔立ちは、皆それぞれ特徴は違えど写真で見る母親に似て美人なんだけどね。
その中でも特に母親の遺伝子を受け継いでいる顔をしているのは…
「まあ…大切な教え子だしね。」
チラッと横目で視線を向けると、いかにも自分は空気ですと言わんばかりに伏せ目で床を見る彼女の姿があった。
京都へ来てから、Aは普段より憂いを漂わせて口数もかなり少なくなっていた。
ユリコさんとのとてつもなくどうでもいい、生産性のない会話の中、彼女は一言も言葉を発することはなく…
先ほど嫌いと言っていたお茶をちびちび飲むだけだった。
優瓈子「そろそろ、Aの支度をしなければなりませんわ。」
支度と聞いた瞬間、彼女の肩がピクっと跳ねた。
綺依「A、こちらに。」
『はい、姉様。』
スッと立ち上がると三女と部屋の外へと出て行ってしまう。
心なしか顔色が悪く見えたのは気のせいか?
優瓈子「悟様は、ご自由になさって下さいな。お庭はちょうど見頃の花がありますのよ。」
「花…ね。わかった、少し歩こうかな。」
どうせどこへ行っても人の目があるし、この家で安らげる気もしない。
僕も新幹線で寝ておけば良かったなあ。
優瓈子「ふふ。それでは、また後で。」
にっこり笑い先ほど2人が出て行った扉へ向かう。
「支度って何だろな、昔からそんなことしてたのかな。」
よその家にあまり興味がなく、しきたりや歴史なんかも必要最低限しか覚えていない。
が、さっきのAの反応は少々引っかかる。
迎えに来た使用人の態度といい、おそらくあまり良い待遇はされていないはず。
であれば、尚更彼女の「支度」が気になってくる。
僕は屋敷の中を散策することにした。
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おかだ - 読み応えあって好きです、更新楽しみにしています! (2021年3月1日 16時) (レス) id: 823cf7df74 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず生姜 - うわぁぁぁぁぁどんな展開になるのか気になります!!更新頑張ってください!!楽しみに待ってます!! (2021年1月4日 20時) (レス) id: 36f1074087 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:安井 | 作成日時:2021年1月3日 20時