Phenex 4 ページ35
深夜。
キクはAをアーサーの腕の中から引きずり出し、自分の個室のベッドへ寝かせた。
「はぁ、あの方も抱きしめながら寝るなんて…
どれだけ好きなんですか」
まあそれを言えば否定するのでしょうけど。キクが呟くと、耀が不思議そうに尋ねた。
「こいつ誰あるか…」
「次に契約しようと思っている少女です。訳あってここに誘拐してます」
真実を言わないのは常識。ダンタリオンはベリアルに負けず劣らず、計算高い。
「ふーん、そうあるか。まあ深く追求はしないある」
「助かります」
「それで？我の美声でこいつをお前の言いなりにすればいいあるか？」
キクは少しイラッときたが、にこりと笑って返した。
「ええ。できれば効き目は長い方が良いのですが」
「どうしようあるな〜。お前我の事嫌いなようあるし…」
キクはさらにイラッときたが、我慢しこう言った。
「お願いします。
…耀にーに」
「！！し、仕方ねーあるな！にーにがちょちょいとやってやるある！」
ちょろい。キクはほくそ笑むと歌い始める耀を見つめた。
こんな性格だが、不老とも言われる耀の実力は本物だ。
自分が持っている科学の知識はほとんど彼からの物だし、彼もまた人々と契約して科学の全てを教えていた。
契約の際に最大の誘惑となるのは、彼自身の歌声だったのだ。
それに打ち勝つには強い精神力がいる。
寝ているAにそんな力などない。
「これで朝起きたときには、お前の言うことを聞くイイコになってるはずあるよ。期間はかなり長いはずある。
…しかしお前も寝てる間に、なんて性格悪いあるなぁ」
くくくと袖で口元を隠して笑う耀に、キクは悪魔ですから当然でしょう、と言った。
「じゃあ我はこれで帰るある。
…くれぐれも他の奴らに喧嘩売るようなことはするもんじゃねーあるよ」
「何のことでしょうか」
耀ははぁ、とため息をつくとそのまま炎に包まれ消えていった。
「喧嘩を売る…、ねえ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 118人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
漆黒の堕天使 - ありがとうございますす流石にいちゃんかっこいいこれどうぞ(糸切りもち) (2016年7月23日 9時) (
レス) id: 00da4d2b3b (このIDを非表示/違反報告)
とと(プロフ) - 漆黒の堕天使さん» フランシス: やだなぁ〜、そんなに褒めても何も出ないぞ？ まあ契約するくらいならお手軽もんだけどね〜。 あ、他の奴らとは契約すんなよ？お前はお兄さんの契約者なんだから、ね。 (2016年7月4日 16時) (レス) id: c40f552dcf (このIDを非表示/違反報告)
漆黒の堕天使 - ととさんお願いが聞いてくださりありがとうございますこれどうぞ(ハンバーガー)とこで兄ちゃんかっこいいよ契約したいよ (2016年6月27日 15時) (レス) id: 00da4d2b3b (このIDを非表示/違反報告)
とと(プロフ) - にぽんさん» にぽんさんいつも本当に有難うございます…！ 死にかけてるわけではないので大丈夫です！生きてます！ 更新できなくなるのは一番嫌なので、またゆっくりペースを戻していきますね♪ にぽんさんもお体にはお気をつけて下さいね^^; (2016年3月3日 15時) (レス) id: c40f552dcf (このIDを非表示/違反報告)
にぽん(プロフ) - だ、大丈夫ですか！？ととさんに迷惑かけっぱなしで、そして何も出来なくて申し訳ないですが、いつでもまってます！見捨てる理由なんてありません( *｀ω´)って、なんかすいません！お大事にです (2016年3月3日 14時) (レス) id: 43b08bd5ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とと | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/hometotop/
作成日時：2016年2月9日 3時
