6.距離感 ページ6
「なっ…!何だよその言い様!喧嘩売ってんのかこのやろー!」
「うわああ、口に出てた?ごめんごめん。いやなんか弟君?の方が良い子そうだなと思いまして」
「やっぱり売ってたんじゃねえかよ…!」
ロヴィーノ君が、今にも殴り掛かって来そうな勢いで握った拳にはぁー、と息を吹きかける。怖いですよ…。だが幸いその時だけの脅しだったようでそんな心配をする必要は無かった。こんのヘタレめ。
「だって弟君…フェリシアーノ君だっけ?この子の方がロヴィーノ君より背高いし…」
そう言いかけた所でちらりとロヴィーノ君の顔を見てみると、この上ないくらいに真っ赤になっていた。まるで彼の大好きなトマトみたいに。俯いているが耳が真っ赤っかになっているので、表情は容易に想像できる。
「あ……ロ、ロヴィーノく…」
「ちぎぃいいい!!この馬鹿弟めー!」
「うわっ、兄ちゃん!?」
まずい所を突いたかなと思い、謝ろうとして名前を呼ぼうとするとその言葉は遮られた。いきなり顔をあげたロヴィーノ君は案の定真っ赤な顔でフェリシアーノ君の所へずかずかと歩いていき、ポコポコと殴り掛かる。
「ヴェッ、兄ちゃんっ痛いっ痛いー!」
「うるせえ!いつかお前よりも超えてみせるからな!!」
私から見てみたらあまり痛そうに見えなかったが、フェリシアーノ君は助けを求めて大声を出した。すみません、助けられません…。元凶は全て私です…。心の中で必死でフェリシアーノ君に謝罪した。
少しするとロヴィーノ君も落ち着いたようだけれども、まだむすっとした顔をしていた。フェリシアーノ君は殴られたのにも関わらずまたへらりとした表情をしている。これから部活だと急いでいたようで、いつでもここに連絡してね!とメアドが書かれた紙を渡されたのが最後だった。
「なんか、ごめんね?気にしてたよね」
「別にいい、ほんとの事だし…。でもいつか必ずあいつを越してみせるから。その時は見ておけよちくしょーめ!」
でかでかと宣言され、いつもの自信満々の顔に戻った。ひとまず安心だ。
「男の子とあんな距離まで近づいたの初めてだったからびっくりしちゃって。ましては手まで握られるなんて、つい固まっちゃったよ」
「…?何言ってんだよ。さっきまで俺達、あの馬鹿弟よりも近い距離で話してたのに」
掴み所無いし、今まで遠い存在だと思っていたロヴィーノ君は、意外と私のすぐ近くにいたのかもしれない。
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くるりん(?・ω・)(プロフ) - 薺さん» 貴重なご意見、ありがとうございます…!まず人種が違いますから、合併なんかも出来ないですし本当に愛し合っていないと結ばれないんじゃないかな、と考えると止まらなくて!拙い文章ですが、頑張らせて頂きます! (2017年3月31日 12時) (レス) id: 405f58ad2d (このIDを非表示/違反報告)
薺 - はじめまして!最後まで一気読みしちゃいました!ヒトとクニの切ない描写がなんかたまりません…!更新頑張ってください! (2017年3月29日 20時) (レス) id: 8d03f80a9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くるりん(✿・ω・) | 作成日時:2017年3月12日 0時