5.へらりと微笑む ページ5
「ったく、お前のせいで帰りが遅くなっちまったぞこのやろー」
「良いじゃない、別に。どうせロヴィーノ君帰宅部でしょ?」
「お前に言われたくねーぞ!」
えいえい、とロヴィーノ君が私を肘で小突いてくる。自慢ではないが私もロヴィーノ君と同じ帰宅部だ。私的には学園でお勉強してその後仲の良い友達と部活でenjoy、みたいな感じで学園生活を充実させたかったんだけどな。
だが私は菊さんと違って頭が固く、勉強について行けるか心配だと悟りあえて入らなかった。それにクニの人達と違って体力が底抜け、という訳でもありませんから。
「へへ、暇人なんだな」
「うるさいなあ、あっ」
その時、目の前を1人の男子生徒が横切った。髪色は明るい茶色で、ロヴィーノ君と同様によく分からないくるっとしたアホ毛が生えている。どこかで見たことあるな、と思っていたらその子が盛大に目の前で転んだ。
「えっ、ちょ…大丈夫ですか!?」
「ヴッ、ヴェ?わー、俺ベッラに話し掛けられたあ!」
その子は何でもなかったように立ち上がり、ヴェヴェと変な声を上げてへらりと笑った。そう言えば時々ロヴィーノ君も変な奇声発するよな、そんな事を思っていると突然その子が手を握ってきた。
「ヴェー!ねえねえっ、俺とこの後パスタでも食べに行かない?丁度いいお店知ってるんだあ」
「え、あの…」
ずっと菊さんの家にいたため、スキンシップや極度なボディータッチに慣れていなくつい固まってしまった。あ、あれ。確かこの子、さっき菊さんの事後ろから呼んでた子じゃなかったっけ。うーん…、と思い出そうとしていると突然後ろからロヴィーノ君の声が響いた。
「ああっ、お前…フェリシアーノ!」
「ヴェッ?あれ、兄ちゃん!」
あまりにも大きな声だったので廊下に反響した。フェリシアーノと呼ばれた子が兄ちゃん、と言ったは紛れも無く目の前にいるロヴィーノ君。彼より愛想がよく、転んだ時から表情一つ変えないへらりとした頼りなさげな顔。良く見たらアホ毛の位置も逆だ。
そんなフェリシアーノ君を見てるとふと私は思った。いや、もしかしたら口に出してしまっていたかもしれない。だとしたらすごく失礼だ。
「ロヴィーノ君がお兄ちゃん?なにそれ、笑える」
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くるりん(?・ω・)(プロフ) - 薺さん» 貴重なご意見、ありがとうございます…!まず人種が違いますから、合併なんかも出来ないですし本当に愛し合っていないと結ばれないんじゃないかな、と考えると止まらなくて!拙い文章ですが、頑張らせて頂きます! (2017年3月31日 12時) (レス) id: 405f58ad2d (このIDを非表示/違反報告)
薺 - はじめまして!最後まで一気読みしちゃいました!ヒトとクニの切ない描写がなんかたまりません…!更新頑張ってください! (2017年3月29日 20時) (レス) id: 8d03f80a9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くるりん(✿・ω・) | 作成日時:2017年3月12日 0時