25.情けなくて切なくて ページ25
「落ち着いた所で、お前はAだよな?」
「……多分」
「多分ってなんだよ!Aなんだろ?」
やっと呼吸が正常に戻ってきた。そして目の前にはギルベルト君。同じ視線で見てみると、ただガタイが良いだけの普通のクニの人じゃないかと思えた。一体何を怖がっていたのだろう、あの時の殺気も威圧も今の彼には無い。あれ何だったのか。怖さのあまり幻覚を見ていたのだろうか。
菊さんの家特有の曖昧な返事を返すも、頭では悶々と回っている彼の悲しそうな表情。とてもそんな顔をする人にはやはり、見えなかった。だがそれを目の前で見せられたなら、信じずを得ない。そう。今、例の表情を彼はしたのだ。
「何が…、何がそんなに悲しいんですか…?そんな表情をするくらい、悲しい事があったんですか?」
謎を突き止めようと、勢い余って立ち上がった。言いたい事を言葉にしてズバズバと並び立てると、ギルベルトはぽかん、という顔をしていた。先程までの顔はもう無い。
「今、悲しい顔したでしょ。菊さんやアントーニョさんが気付いていなくても、私は知ってました。その事がずっと気になってて…」
ハッ、とした。やっと自分がしている所為に気が付いた。我を忘れて熱弁していた。思わず、言葉に詰まってしまう。だがそんな情けない私の前でギルベルト君は、泣きそうな顔をしていた。
「お前…、すごいよ。誰にも気づかれてないと思ってたのにな」
そう言うと彼は、この上ない悲しい笑顔を浮かべた。見ているだけでも痛々しい。聞かなくても分かる。傷ついている。精神的に傷だらけだ。もしかしてあの放送も、その疲れを紛らわすためだったのかもしれない。
「俺の話、聞いてくれるか?誰にも話したことないんだけれど、お前になら話せるかもしれない。分かってくれるかもしれない」
反射的に私は頷いていた。
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くるりん(?・ω・)(プロフ) - 薺さん» 貴重なご意見、ありがとうございます…!まず人種が違いますから、合併なんかも出来ないですし本当に愛し合っていないと結ばれないんじゃないかな、と考えると止まらなくて!拙い文章ですが、頑張らせて頂きます! (2017年3月31日 12時) (レス) id: 405f58ad2d (このIDを非表示/違反報告)
薺 - はじめまして!最後まで一気読みしちゃいました!ヒトとクニの切ない描写がなんかたまりません…!更新頑張ってください! (2017年3月29日 20時) (レス) id: 8d03f80a9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くるりん(✿・ω・) | 作成日時:2017年3月12日 0時