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19.思考が追いつきません ページ19

頭の中で話したい事を整理したようにうんうんと言うと、じっと私を見つめた。アーサー君からは微かに紅茶の香りがして、甘ったるい少し苦手な匂いだった。長い時間この部屋にいるとこの匂いが移りそうだ。だが、そんなどうでもいい事なんて考えられないような、重々しい空気が流れる。

「俺、お前が生徒会に入ったら面白いって言ったろ?あれ、実は建前」
「た…、建前?」

突然の一斉目…いや、ニ斉目というべきだろうか。それに素っ頓狂な声を上げる。

「えっ、建前って…?やっぱり私をこき使いたいが為に?」
「違う」

恐る恐る聞いてみた問いは呆気なく流された。だが否定したその顔つきはどこからどう見ても真剣そのもので、つい見入ってしまう。どう説明するかなと考えた末に彼は口を開いた。

「W学園にヒトが入学してくるなんて、始まって以来の珍しい事なんだ。それでもお前は、周りはクニばかりなのにあっという間に打ち解けている。人種にも礼儀作法にもズレがあるのにだ。生徒会長として、実に興味深い」

つらつらと話す言葉を一つ一つ理解していくのに精一杯だった。相変わらず、褒められているのか貶されているのかよく分からない口調。私が頷くと彼はまた話し始めた。

「だから俺はお前を応援する。一人の生徒として、生徒会長の名誉にかけて。生徒会の中で一番近くで応援する。成績なんかはもちろん、俺が察した範囲内は」

そう言われた途端、いきなり世界が明るく照らされたような気がした。ヒトとクニの違いについて、もう悩まなくても良いんじゃないかと思う程に心強い。だが最後の言葉がいまいち理解が追いつかなかった。

「俺は察しが効く方だからな。でも大事な事はお前にはまだ言わない方が良い。お前はまだ、気づいていないみたいだから」

そこまで言い切るとアーサー君は立ち上がった。用はこれを言いたかっただけみたいだ。気づいていないと言われたが、何の事を言っているのか全然分からない。成績以外に何があるのだろうか。

扉を開けて、私から出してくれた時には伊達に紳士を名乗ってるものじゃないなと実感する。これが世で言う、レディーファーストと言うものか。もう遅いし送る、と言う様に顎で先に行けと指示をした。校門まで出ると意外な人が待っていた。

「ロヴィーノ君…?何で…」

彼は俯いたまま、いつも通り帰るぞと呟いた。アーサー君はまだやる事があって残るらしい。見送ってくれた彼は良かったな、とこの上ない笑顔だった。

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くるりん(?・ω・)(プロフ) - 薺さん» 貴重なご意見、ありがとうございます…!まず人種が違いますから、合併なんかも出来ないですし本当に愛し合っていないと結ばれないんじゃないかな、と考えると止まらなくて!拙い文章ですが、頑張らせて頂きます! (2017年3月31日 12時) (レス) id: 405f58ad2d (このIDを非表示/違反報告)
- はじめまして!最後まで一気読みしちゃいました!ヒトとクニの切ない描写がなんかたまりません…!更新頑張ってください! (2017年3月29日 20時) (レス) id: 8d03f80a9c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くるりん(✿・ω・) | 作成日時:2017年3月12日 0時

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