2.第一印象なんて ページ2
それはよく晴れて、春風が桜を運んでどこもかしこも桃色で。
周りはクニの人達ばかりで賑わっていた。その中を菊さんに連れられて歩いて行く。普段着物ばかり着ていたせいかスカートという洋風の服がどうも不自然に感じながら、おどおどと焦っている菊さんの横顔を見つめた。
「え、えーと、入学式ってどこでやるんですかね」
「君たち2人新入生?あっちの事務室で詳細を書いて、体育館に集合な」
先生らしき人が指さした先にはとても大きな校舎。私達がこれから通うことになる学舎。太陽の光が眩しくてとても上までは見えない。
「大きい、ですね。とても」
「ええ、菊さんの家とどちらが大きいでしょうか」
「多分推測ですが、こちらの方が」
初めて見る大きな建物を前にして、とっくに見知っている相手とガチガチに会話を交わす。それにしても外人さんの多いこと。
背が高くて鼻がすらっとしていて、菊さんの家にいる人達しか見たことない私からしては恐怖心さえ覚えた。
でもその中で一人だけ外人さんの輪に入っていない人がいた。その人もどこからどう見ても外人さんで、ぼうっと桜を眺めていた。
外人さんでも桜をたしなむんだな、と風流に思い見つめる。その横顔は目つきが悪かったがどこかに華があり、綺麗だなと思った。W学園にいるのにこの人は普通のヒトであるんじゃないかとさえ思った。
バチッとその人と視線があった。慌てて視線を逸らすがその人がどんどん近づいてくる。再び恐怖心を覚える。入学式そうそうトラブルなんてご免だ。随分と近くなった時にその人が口を開く。
「おい、お前。名前なんて言うんだ?」
「は、はいっ!?」
「だーかーらー、違うんだって!お前は第一印象と今とが違いすぎるんだよこのやろ!」
「そんな事ないよ!それよりロヴィーノ君の方が違うよ、こんなにヘタレだったなんて…。後そろそろ名前で呼んでよね、馬鹿!」
「お前が勘違いしただけだろ、あと馬鹿じゃねえ!お前菊ん家にいるくせに口調荒いなこのやろー!」
取っ組み合いの喧嘩にまで発展した。いつもやる気ないくせに変な時だけ本気出すんだから。でもいまは授業の最中だと言う事は忘れてはいけない。
私達は仲良く口喧嘩しながら廊下へ出た。
14人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くるりん(?・ω・)(プロフ) - 薺さん» 貴重なご意見、ありがとうございます…!まず人種が違いますから、合併なんかも出来ないですし本当に愛し合っていないと結ばれないんじゃないかな、と考えると止まらなくて!拙い文章ですが、頑張らせて頂きます! (2017年3月31日 12時) (レス) id: 405f58ad2d (このIDを非表示/違反報告)
薺 - はじめまして!最後まで一気読みしちゃいました!ヒトとクニの切ない描写がなんかたまりません…!更新頑張ってください! (2017年3月29日 20時) (レス) id: 8d03f80a9c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:くるりん(✿・ω・) | 作成日時:2017年3月12日 0時