34 夏 ページ34
結局、潤君が店を終わるまで、この海の家でニノと雅紀君と三人で、一緒に待つことになった。
ノリノリのニノと雅紀君。
花火買い込んで来たり、お酒持ち込んだり、スイカ買ってきたり。
絶対俺ダシにされてるって言いながら、名残惜しそうにレストランに向かう潤君を見送って、こちらを振り返ったニノがこの夏一番いい顔で言った。
｢じゃ、海に入りますか｣
夕方5時半。
日中天気が良かったから、まだ夜の帳は遠くの彼方。
昼間は芋洗い状態だった祭の後の砂浜は、観光客が帰って、地元の若者がまばらにいるだけ。
レンタル水着を着て海の家から出てきた私を、先に水着に着替えて砂浜に出てた二人が照れ臭そうに迎えるから、私の恥ずかしさも倍になる。
｢いや〜･･････。どうしてあなたそんなにやらしいのよ｣
ニノに感心したように言われて、その場にしゃがみ込んだ。
二人が喧嘩寸前になってまで決めてくれた白いビキニ。自分ではそんなにやらしくないと思うのに。
｢俺、海入ってくる！｣
私とニノのやりとりをモゾモゾして見てた雅紀君。私と目があった瞬間、赤くなって飛び出すように波に向かって行った。
｢まだまだ青いね〜｣
雅紀君を見送って、おじいちゃんみたいな眼差しで腕組んで頷いてるニノが可笑しくて、立ち上がった私はその手をとった。
びっくりしてるニノ。
夏だし。いいよね？それともまた怒られちゃう？
｢ニノも久しぶりなんでしょ？｣
さっき私に、せっかく海に来てるのに入らないなんてもったいないでしょ。夕方なら人目も少ないから安心でしょって、海に誘ってくれたニノ。その時、ニノだってここ数年入ってないって雅紀君が言ってたの。
ええ？俺も!?って驚きながらも私の手を振りほどこうとしないから、そのまま手を引っ張って雅紀君の後を追った。
｢冷たっ｣
｢想像以上だわ｣
思った以上に冷たい海。
腰まで入ったら、急な波で後ろに倒れそうになったのを、ニノが腕を伸ばして支えてくれた。
｢あぶねっ｣
｢わっ、ありがと･･････。波ってこんな強いんだ。小学生の時以来だから｣
海って不思議。つかってるだけで自然と笑ってるの。
歩き出そうとしたら、まだニノの腕が腰に絡んでたことに気づく。
｢ニノ？｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 478人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ao(プロフ) - けいこさん» けいこ様、ありがとうございます〜。メロメロタイムはもう少しお待ち下さいませ。私も青色さんメロメロにしたい！無理だけど！ (2018年6月5日 6時) (
レス) id: 662b179892 (このIDを非表示/違反報告)
けいこ(プロフ) - はーい！楽しんでますっ。フェロモンたっぷりの主人公ちゃん、早く智をメロメロにしちゃってよぅ〜。クーうらやましい！ (2018年6月4日 10時) (レス) id: 2fb3c7c4f9 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 小春柴犬さん» 小春柴犬様。コメントありがとうございます。励みになります。全財産持って行かれた理由、更新しましたよー。今甘くないですけど、また甘くしますから、待ってて下さいね〜。 (2018年6月3日 6時) (レス) id: 662b179892 (このIDを非表示/違反報告)
小春柴犬(プロフ) - 書ききれず連投ごめんなさいm(_ _)m 全財産持ち逃げしたくせに!あおさん早く成敗してください（笑）ではでは更新お疲れ様でした。続き待ってます (2018年6月2日 18時) (レス) id: d59263fbc6 (このIDを非表示/違反報告)
小春柴犬(プロフ) - あおさんこんにちは!一気に読みました!途中智呼びにグフフっとなりつつ（笑）あまーい雰囲気ですね。潤君男前だ。ヒロインの色気に勝ってる(ﾉﾟοﾟ)ﾉ翔さんの先輩ポジション本当いいですね。大ちゃん好きなのに揺らいじゃいますよ。お金の女の人腹立ちますね (2018年6月2日 18時) (レス) id: d59263fbc6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あお
| 作成日時：2018年5月25日 6時
