28 先輩 ページ28
櫻井先輩は付き合う前も後も、距離の変わらない高嶺の花だったから。･･････多分、私が勝手に作っていた距離と壁だったと思う。
先輩に彼女が出来たって知って、何度後悔したことか。どうして目があったのに逸らしてしまったんだろう。声をかけてくれたのに怒ったみたいな顔をしてしまったんだろう。緊張と恥ずかしさで裏腹な態度ばかりをとってしまった自分を呪った。
･･････でも、あの頃よりさらにかっこよくなった先輩の隣で、今も緊張してるし恥ずかしさも変わらずあるけれど、もう逃げ出したいとまでは思ってない。
｢先輩｣
｢なに？｣
あの頃のことを謝罪したかった。でも、今はみんながいるから。
｢ありがとうございました｣
感謝だけを伝えよう。私の青春だった先輩。
どんぐり眼の櫻井先輩は暫く食い入るように私を見ていて、急にぎゅっと目をつむると、おもむろに私の手首を掴んできたと思ったら連れだって立ち上がろうとした。
｢ごめんっ！A連れて出てきてもいい!? 話したいことがいっぱいで、もう我慢できないんだけどっ！｣
櫻井先輩の願いは叶わず、みんなに強制的に座らされ、不機嫌に唇が尖ってる。
でも私もちゃんと話せるなら話したかったから、やけ食いする先輩の耳元でそっと言った。
｢またお時間作って貰えますか？私も先輩と話がしたいので･･････｣
瞬間、ぶほって食べてたものを吹き出して盛大にむせてる先輩。
大慌てでその背中を撫でたら、櫻井先輩が何故か逃げた。
お水を飲んでどうにか落ち着いた先輩は、まだ赤い顔をしたまま、怒ったように私を指差して言った。
｢Aだめ！ それだめ！ もう、お色気が過ぎるでしょ!? 危なく鼻血が出るとこだった！｣
どこらへんがダメだった？
困って、サングラスと帽子をつけようとしたら、そうじゃないからって雅紀君に笑いながら止められた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 478人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ao(プロフ) - けいこさん» けいこ様、ありがとうございます〜。メロメロタイムはもう少しお待ち下さいませ。私も青色さんメロメロにしたい！無理だけど！ (2018年6月5日 6時) (
レス) id: 662b179892 (このIDを非表示/違反報告)
けいこ(プロフ) - はーい！楽しんでますっ。フェロモンたっぷりの主人公ちゃん、早く智をメロメロにしちゃってよぅ〜。クーうらやましい！ (2018年6月4日 10時) (レス) id: 2fb3c7c4f9 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 小春柴犬さん» 小春柴犬様。コメントありがとうございます。励みになります。全財産持って行かれた理由、更新しましたよー。今甘くないですけど、また甘くしますから、待ってて下さいね〜。 (2018年6月3日 6時) (レス) id: 662b179892 (このIDを非表示/違反報告)
小春柴犬(プロフ) - 書ききれず連投ごめんなさいm(_ _)m 全財産持ち逃げしたくせに!あおさん早く成敗してください（笑）ではでは更新お疲れ様でした。続き待ってます (2018年6月2日 18時) (レス) id: d59263fbc6 (このIDを非表示/違反報告)
小春柴犬(プロフ) - あおさんこんにちは!一気に読みました!途中智呼びにグフフっとなりつつ（笑）あまーい雰囲気ですね。潤君男前だ。ヒロインの色気に勝ってる(ﾉﾟοﾟ)ﾉ翔さんの先輩ポジション本当いいですね。大ちゃん好きなのに揺らいじゃいますよ。お金の女の人腹立ちますね (2018年6月2日 18時) (レス) id: d59263fbc6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あお
| 作成日時：2018年5月25日 6時
