30話 君の夢 ページ30
翔さんは声を優しくして言った。
｢智君、Aちゃんが立派なパティシェになるのを楽しみにしてるんだよ｣
｢そんなこと一度も聞いたことない･･････｣
もちろん普通に応援してくれてるのはわかってるけれど。
翔さんは鞄を椅子の上に置いて言った。
｢･･････智君はさ、自分の将来をじっくり考えてる間が自分にはなかったから。妻子を養うためにお金必要で、取り急ぎ稼ぐためにとりあえずこの仕事を始めた感じだったからね。まぁ、たまたま興味ある職業だったから良かったけど。･･････智君は、Aちゃんが大学を辞めてまで自分で選んだ道があることをとても喜んでいるんだよ。しかもその経過をそばで見られるから、今、我が事のようにワクワクしてると思うよ｣
そう言って、翔さんは原稿を見るために持ち上げた。
智さん･･････。
智さんの優しさが心に沁みる。
私、愛されてる･･･････。
ふと思った。お盆にダブルデートに出掛けるけど、智さんがそれを了承してくれたのは私のためなんじゃないのかなって。
智さんは私の夢や勉強を応援してくれている。それと同じように、友達との付き合いや、遊びの面でも応援しようとしてくれているんじゃないかな･･････。
思えば今の私の年齢は、智さんが結婚した年で、お金を稼ぐために必死になっていた頃だ。
智さんに守られていると感じた。
私はまるで、穏やかな春の海に包まれたような心地だった。身を任せて、ゆっくり漂う。
｢ところでさ、そのこと、智君は知ってるの？｣
指を指されて、それを目で追った私はあたたかくしていた胸を凍らせた。
それはくるまったストールの中にあるもので。
私は青ざめた。
見られてた!?
でも、逃げ場がまだないかって｢このストールのことですか？｣ってドキドキしながら聞いたら、真顔で首を横に振られた。
｢違うよ、その中身のこと｣
あぁ、万事休す。
私はとっさにいろいろごまかす言葉を考えたけど、相手が翔さんだったのを思い出すと、胸の中でハンズアップした。
翔さん相手にごまかそうとか、１００万年早いことを思い出したの。
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ao(プロフ) - さとりさん» さとり様コメントありがとうございます。返信遅くなってごめんなさい。終わって脱力してました。嬉しいお言葉に、また作る力を貰ったような心地です。思いは溢れれど、不在の寂しさにまだ前を見れず。早く新作が書けるようになって、また喜んで貰いたいです♪ (2021年6月13日 10時) (
レス) id: 17a7f53f1b (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ともさん» とも様返信遅くなってごめんなさい。私もいつも最後の句読点を打つときは寂しくて手が止まります。でもこうしてコメントがいただけると思うと、早く投稿したくもなって。いい時間を過ごさせて貰えました。ありがとうございました！ (2021年6月13日 10時) (レス) id: 17a7f53f1b (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - しゅるるさん» しゅるる様おはようございます。返信遅れちゃってすみません。汗。･･･この空の下で幸せに、智君らしく過ごせていたら、ほんとに嬉しいです。早くメディアに出て来て欲しいなんて思ってませんがやっぱり会いたくなるその気持ちをここで昇華させて貰ってます♪ (2021年6月13日 10時) (レス) id: 17a7f53f1b (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ていくさん» ていく様おはようございます。返信遅れちゃってごめんなさい。腑抜けになっちゃってました。過去作修正したりしてました。過去作の続編とか、私も大好きです。喜んで貰えて良かったです♪ありがとうございました！ (2021年6月13日 10時) (レス) id: 17a7f53f1b (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - keiさん» keiちゃんおはよー。返信遅くなってごめんね。そうなの、背中もやばいの。抱きつきたくなるぅ。完結できてよかった。新作までは遠いけど、書けたらいいなって思ってるよー♪ (2021年6月13日 10時) (レス) id: 17a7f53f1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2021年5月25日 22時
