第22章 空き部屋 8/13 ページ18
雨が降る日が続いた。
すると、雨の日になると、智君は私を事務所に送った後で、自分は裏の工房で彫り物をするというスタイルが定着した。
いつも彫り出すと飲食を忘れる程に集中する智君。特に今回の作品は集中力が凄かった。何かに取り憑かれたかのように周りに目もくれない。
連日の雨で伸びた顎の無精髭は、大工というより、職人気質なアーティストを連想させる。
汗避けの為に頭にタオルを巻き、首筋を流れる汗の雫は、肩にかけたタオルに吸収されていく。
迷いなく動き続ける手。
それはまるで彫刻の神様が降りてきた様な姿だった。
惚れ惚れするなんて甘い台詞を吐けない程に尊い。
故に、私のせいで無理矢理切り上げさせるのが申し訳なくて、私は仕事が終わると、声はかけずに先に家に帰っていようとするんだけど、智君はスマホにアラーム機能を設定していて、私の帰る時間になると毎回やめて、一緒に帰ってくれる。
それは晴れている日も同じで、現場から帰ってきて工房に篭るけど、近頃は時間を決めて作業するようになっていて、帰りは遅くならない。私は晴れていると夕食の用意のために先に帰るんだけど、夜９時頃になると、毎日同じ時間に帰ってくる。
･･･････それはいずれも結婚前にはなかった行動で、私は心配だった。
私のせいで、無理させてるんじゃないのかな。結婚して、自由さがなくなって、やりたいことが制限されているんじゃない･･････？
私達が住んでいる部屋は2LDKで、使っていない、荷物置き場になっている洋室が一室あった。
私は智君が用事で出掛けたある日曜日、その洋室を使えるように片付けた。
戻ってきた智君に、綺麗になった部屋を見せたら不思議がられた。
｢なんに使うの？｣
｢智君の部屋だよ｣
｢俺の？｣
ひっくり返った声を出した智君は、改めて部屋の中を見回した。
でも、首の後ろをひと撫ですると、興味なさそうにリビングに戻っていく。喜んでくれるかなと思っていた私は慌ててその背中を追いかけた。
｢智君、あの部屋使ってね？｣
智君はいつも座る座椅子に胡座をかいて座ると、立ったままの私を見上げて言った。
｢･･･････Aのにしたら？｣
｢えっ！｣
｢部屋が欲しかったんだろ？｣
私が!?
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ao(プロフ) - のりさん» のり様こんにちはー。今日までおつきあい下さいましてありがとうございました。いよいよ最終回をアップさせました。最後まで仲のいい二人。幸せな様子を御覧下さいませ〜。 (2020年8月18日 13時) (
レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - keiさん» kei様こんにちは。私も終わるのは寂しいですが、この二人はもう揺るぎない愛を手に入れて、何があっても大丈夫だなと太鼓判を押せたから終わりを迎えたと思っていただければ。最終回アップさせましたのでお待ちいたしております。 (2020年8月18日 13時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 智恵里さん» 智恵里様こんにちは！最終回アップさせましたよ。男前な智君が最後まで御覧いただけると思います。是非遊びに来て下さいね〜。イチャイチャしてます(笑)。 (2020年8月18日 13時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - 次回最終回なんですね( ；∀；)幸せな2人をもっともっと見ていたいです。寂しいけど楽しみにしています(^^) (2020年8月16日 18時) (レス) id: ad0691ba18 (このIDを非表示/違反報告)
kei(プロフ) - 最終回…寂しいけど楽しみです でもやっぱり寂しいなぁ。 (2020年8月16日 16時) (レス) id: f23aca24b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2020年7月6日 16時
