7話 7/1 ページ7
いっそう抱き着こうとしたら、背後から声が掛けられた。
｢あの･･････｣
私たちはコンビニエンスストアの入口の横で抱き合っていた。
邪魔だったのかと思って慌てて身を引きながら涙を拭った。でも顔をあげて息をのんだ。
声をかけてきたその人が、さっき私の後ろを歩いていた黒いフードの男の人だったからだ。
ビクッとして身を固くしたら、智君がするりと出て私の前に立った。
智君･･････。
その人は言った。
｢傘、落としていかれましたよ｣
そう言って差し出したのは私がさっき、走り出した時に投げ出した傘だった。閉じてある。
｢骨は折れてなかったですよ。良かったです｣
え･････？
あれ？
その人はフードを外した。
すると、普通の人だった。特に怪しい雰囲気はない。
あれれ？
｢すみません、驚かせちゃったみたいで。さっきあなたが止まった時、思わず俺も止まっちゃったから、変質者に見られたなってのはすぐに気づいて。違うって言いたくて、追いかけちゃったんですけど、余計に怖がらせましたよね。申し訳ないです｣
私はそれを聞いて一気に脱力した。
ふらりとなった身体を、気づいた智君が支えてくれる。
なんだ、追いかけられてると思ったのは勘違いだったんだ･･････。
なんてことなの。
私はその人に頭を下げて謝った。
｢ごめんなさい。･･･････さっき、バスの中で痴漢に遭って、それで怖くなってたから、全部に敏感に反応し過ぎちゃったんだと思います･･････。本当にごめんなさい｣
｢痴漢･･････｣
智君と男の人の、両方の声が重なった。
私を支えていた智君の手に力が篭った。
男の人は哀れみの眼差しで言ってくれた。
｢それは･･････大変な目に｣
私は申し訳なく思いながら首を横に振った。
この人のせいじゃないのに、とんだ濡れ衣をかけてしまった。
その人はよくこのコンビニに来ているらしく、大悟も知ってるお客様で、本当に変な人じゃなかった。
その人が店の中に入っていって、智君と二人きりになると、雨の音がよりいっそう大きく聞こえだした。
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kiki(プロフ) - ao様 お気遣いありがとうございます！今日は快晴です、ao様の作品を読み返して私の心も快晴です！智くんのソロキャンプ見てキュンキュンです。更新楽しみに待ってます！ (2020年7月8日 12時) (
レス) id: 8817d67ddc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - みかぽさん» みかぽ様こんにちはー。智君好きなので、時々智君出さないと私が飢えるので(笑)随所に萌えを散りばめてあります。このあとも波乱含みですが賑やかなアパートをよろしくお願いいたします！ (2020年7月8日 9時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ていくさん» ていく様こんにちはー。賑やかなアパート。最後の「引っ越してぇ･･･」に智君の思いが全部詰まってて笑えます。さてさて、どうなりますでしょうか！ (2020年7月8日 9時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - kikiさん» kiki様こんにちは！九州地方でいらっしゃったんですね。今日もそちらは雨でしょうか。天災は避けようがないので本当に困りものですね･･････。そんな中で、ここでもし癒やしが届けられていれば本当に嬉しいです。面白い展開になってきましたよー。 (2020年7月8日 9時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - あゆみさん» あゆみ様コメントありがとうございます。とても嬉しかったです。被害はなくとも心労は重なりますよね。ここで少しでも癒すことが出来ればと思います。愛と萌えをてんこ盛りで、これからもお届けできればと思います。ありがとうございました〜！ (2020年7月8日 8時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2020年6月27日 18時
