8話 ページ33
しばらくすると、櫻井君は切り出すように言った。
｢しばらくここに住む？｣
｢え･･････｣
｢行く当てないんでしょ？｣
私は首を横に振った。
そんな迷惑はかけられないし、いつまた猫に戻るかわからない身体だからここにはいられない。
けれど櫻井君は尚も誘ってくれた。
｢ビール飲んじゃったからもう送れないし、泊まって行きなよ｣
けろっとした顔で言われて、櫻井君が自分の飲み物にビールを選んだのは最初から考えがあってのことだったんだって分かって舌を巻いた。
｢財布も持ってないよね？ 鞄ないし｣
ぐうの音も出ない。
｢行く当てもない人間をみすみすここで外に放り出すとか出来ないよ｣
すごい策略家だ。
｢･･････行く当てはあるの｣
苦し紛れの嘘の言葉にも櫻井君は簡単に切り返してきた。
｢どこ？ 住所教えてくれたら今すぐここを出してあげる。････って発言がやべぇ奴になってるな、俺。でも、言ってくれたらタクシー代も渡すよ？｣
私は迷った。
嘘を言う？
でも、すぐにきっとばれる･･････。
けれど櫻井君にこれ以上迷惑をかけるわけにはいかないから、えいやっと、適当な住所を言ってみた。
すると櫻井君は即座にそれをスマホに打ち込んで、画面を見つめると唇を尖らせた。
｢･･････あるね、その住所｣
あったのーーー!?
っていうか櫻井君ってば行動が早すぎる！
こんなこと思ってごめんなさいだけど、怖いから！
･･････櫻井君には絶対敵わない気がしてきた。
もう、全部話した方がいい気がしちゃう。
櫻井君は、私の表情から降参の白旗を上げているのを見てとると、満足そうに微笑んだ。けれどすぐにまた表情を引き締めた。
｢えーっと、あとはあれだ。彼女の問題だ。･･･････怜香ちゃん｣
怜香さん･････。
ドキッとズキッが一気に襲ってきて、私は俯いてしまった。
私が智君の元に戻れない１番の理由はそこなの。
いろいろあるけど、結局それなの･･････。
それにしても櫻井君、懸念材料を一個一個潰していくつもり？
やっぱり凄い。凄すぎる。
｢あのさ｣
櫻井君が口を開いた時だった。
突然響いたチャイム。
私は身体を緊張させた。
時計は夜の10時前。
この時間に訪ねて来るなんて、お友達？それともやっぱり彼女とか･･････？
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kiki(プロフ) - ao様 おはようございます！2人が笑顔になれて良かった〜〜。問題解決はまだまだですが、展開が楽しみです。夜会！楽しみすぎまーす。どんなトークと笑いと癒しが！寒くなってきましたね、ao様お身体ご自愛下さいね！ (2019年10月30日 10時) (
レス) id: 8817d67ddc (このIDを非表示/違反報告)
まみ(プロフ) - 更新ありがとうございます。キュンキュンしながら読んでます。智くんのお家に帰ってこれて良かったです。これからも楽しみに待ってます。 (2019年10月29日 16時) (レス) id: 8bd8760678 (このIDを非表示/違反報告)
萌和*(プロフ) - こんにちは。ただいまー！！と叫んじゃいたくなりました(笑) ようやくもどってこれてワクワクしてますがまだどうなるの！？って気持ちもあるので、次回も楽しみにしております (2019年10月29日 14時) (レス) id: 270b2e26c0 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - juntea1054さん» juntea1054様こんにちは。お優しい言葉をありがとうございます。たまたま昨日は早速更新休んじゃいましたけど、すぐに次回更新しますので、お楽しみになさって下さいね。ありがとうございます！ (2019年10月29日 13時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - mizunaさん» mizuna様こんにちは。ここからまた、溜めて読んでいただいた方がいいかもしれません(笑)。毎回謎を残しながら章が終わって行くのでごめんなさい。でも、ラブもありますからね。最後までお付き合い下さいませ〜。 (2019年10月29日 13時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2019年10月16日 5時
