5話 ページ30
私は、リンゴジュースに氷を入れるのを忘れたって言って、冷蔵庫に向かっていく櫻井君の背中に言った。
｢櫻井君がみんなを守りたいって思ってくれてるように、きっとみんなも櫻井君を守りたいって思ってると思う。･････たまには背中預けて、櫻井君も休んでね｣
氷を空のグラスに入れて戻ってきた櫻井君は、一転して神妙な表情だった。
コップを傾けて、ジュースの入ったグラスに氷を静かに落とし込む。
マドラーで数回混ぜたら、カランカランと鈴の音のような清涼な音がした。
｢･････Aちゃんってちょっと智君に似てるね｣
どこが？
･･････私はあんなに優しくないよ？
櫻井君はいつの間にか穏やかな笑顔を浮かべていた。
｢･････似てるのは、言葉が胸に深く入り込んで来るとこかな。大事なことを言ってくれてるって、素直に受け入れられる｣
それは櫻井君の懐が広いせいじゃないかなって思ったけど、ここで反論はいらない気がして、くすぐったく思いながら笑ったら、櫻井君も照れたように笑い返してくれた。
櫻井君は自分のビールと私のジュースの入ったグラスを持って、リビングに移動した。
｢何にもしないでごめんね？｣
結局、キッチンに入ったけど全部櫻井君がやってくれたことを詫びたら、櫻井君はＬ字型に配置されたソファの、１人掛けの席の前に自分のビールを置き、広い３人掛けの方へ私のジュースを置いて、私に座るよう勧めてくれてから言った。
｢気にしないでいいよ。最近忙しくてお客さんを呼んだりしてなかったから、準備するのも新鮮で楽しかったし。･････って言ってもジュース入れただけだけどね｣
｢フフフ。･･････ありがとう。いただきます｣
それは、とてもいい香りのするりんごジュースだった。
りんごをそのまま絞ったような美味しさ。
｢美味しい･･････｣
まじまじとグラスを見つめながら言ったら、取材で行った青森の林檎農家さんから戴いたものなんだよって教えてくれた。
｢幸せになる味だね｣
｢こっちは、そうやって心底美味しそうな顔をしてくれるAちゃんの表情で幸せになれるけどね｣
甘い瞳にドキッとして思わず固まった。
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kiki(プロフ) - ao様 おはようございます！2人が笑顔になれて良かった〜〜。問題解決はまだまだですが、展開が楽しみです。夜会！楽しみすぎまーす。どんなトークと笑いと癒しが！寒くなってきましたね、ao様お身体ご自愛下さいね！ (2019年10月30日 10時) (
レス) id: 8817d67ddc (このIDを非表示/違反報告)
まみ(プロフ) - 更新ありがとうございます。キュンキュンしながら読んでます。智くんのお家に帰ってこれて良かったです。これからも楽しみに待ってます。 (2019年10月29日 16時) (レス) id: 8bd8760678 (このIDを非表示/違反報告)
萌和*(プロフ) - こんにちは。ただいまー！！と叫んじゃいたくなりました(笑) ようやくもどってこれてワクワクしてますがまだどうなるの！？って気持ちもあるので、次回も楽しみにしております (2019年10月29日 14時) (レス) id: 270b2e26c0 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - juntea1054さん» juntea1054様こんにちは。お優しい言葉をありがとうございます。たまたま昨日は早速更新休んじゃいましたけど、すぐに次回更新しますので、お楽しみになさって下さいね。ありがとうございます！ (2019年10月29日 13時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - mizunaさん» mizuna様こんにちは。ここからまた、溜めて読んでいただいた方がいいかもしれません(笑)。毎回謎を残しながら章が終わって行くのでごめんなさい。でも、ラブもありますからね。最後までお付き合い下さいませ〜。 (2019年10月29日 13時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2019年10月16日 5時
