5話 ページ45
波が、私の白いスニーカーの前までやって来た。
避けようとしたら、先に智君が素早く立ち上がって、私の二の腕を掴んで立ち上がらせてくれた。
日が高くなってきて、影が短くなっている。
青い空と白い雲のコントラストは美しく、ボリュームのある入道雲を見て、いよいよ夏も本番を迎えるのだなと感じた。
智君は海を見ながら言った。
｢もしAさんがさらわれたら、気が狂う｣
｢え？｣
｢焦って、なんも出来ねぇかも｣
ドキッとした。
智君は自嘲気味に笑った。
｢まぁ、助けるけど。でも死人出るかもだから、さらわれないよう気をつけて？ おいらまだやりたいことあるし。牢屋には入りたくない｣
どんな助け方するつもり？
･･････でも、ありがとう。
波の音で消えてくれればいいと思いながら小さく呟いた。
｢･････嬉しい｣
翌日の日曜日。いよいよ清掃活動最後の日。
この日は夕方の４時から行われ、終わった6時から、希望者で花火を楽しむ予定だった。
中にはまだ清掃前だというのに、最初から浴衣姿でやって来る子達もいて、清掃活動が出来るのか、苦しくて気分が悪くなりはしないかと心配だったけど、始まってみれば裾をまくり上げて頑張ってくれていて、たいしたものだと感動した。
作業後、着付けが出来た私は、女の子達の乱れてしまった浴衣を海の家で直してあげた。
そのお陰で女の子達と仲良くなれて、来年も参加しますって言ってくれた時には本当に感動して、後で花火の煙りを見つめながらちょっと涙した。
6時はまだ、夜というには早い時間。でもみんな凄く花火を楽しんでくれていて、明るい笑い声、はしゃぐ声が私の疲れを癒してくれた。
消火用のバケツを運び終えて落ちる夕日を見つめていたら、肩を叩かれた。
夕闇の中でも爽やかな笑顔の福士さんだった。
｢Aさん、お疲れ｣
｢お疲れ様でした｣
隣に並んだ福士さんは夕日を瞳に映して微笑んだ。
｢予想以上に頑張ってくれて感謝してる。助かったよ、ありがとう｣
｢いえ、指示されたことをやっただけなので。足手まといになってなかったら良かったです｣
福士さんはクスッと笑った。含みのある笑顔だった。
｢新入社員でこれに回されるってことは、期待されてるってことなんだよ。知ってた？｣
私は目を見開いた。
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ao(プロフ) - mizunaさん» mizuna様こんにちはー。ご趣味が一緒で喜んでおります！そうなんです、あの可憐さなのに、中身男前なのが、たまりません。移行したのでそちらも楽しんでくださいね〜。ありがとうございました！ (2019年9月8日 7時) (
レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
mizuna(プロフ) - aoさんこんにちは〜、まさかのすっぽかしで内心ヒヤヒヤしながら青春も感じる甘酸っぱさに身悶えて読んでます(笑)若い頃の彼は儚さと危うさが入り混じっていていいですよね、かと思えば男臭かったり･･･ｗ今作すごく好きです！移行先も楽しみにしてます♪ (2019年9月7日 10時) (レス) id: a740177e2c (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - keiさん» keiちゃんおはよう！高校生の智君、楽しんでね〜。残暑厳しいから、体調にも気をつけてね！新連載頑張るねー。 (2019年9月6日 9時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ねいまーるさん» いえいえ、おきになさらず。私のお話なんて誤字だらけです。これからもよろしくお願い致します！ (2019年9月6日 9時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
kei(プロフ) - aoちゃーん♪バタバタしていてやっと読めたよ♪なんかめっちゃ青春だね〜♪ドキドキきゅんきゅんするわ＾＾また更新楽しみにしているね♪ (2019年9月5日 13時) (レス) id: 6904188dc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2019年8月24日 21時
