3話 ページ3
6月の終わりの土曜日、私は気合いを入れて希望ヶ浜の最寄り駅に到着した。
改札を出て眩しい太陽に手をかざしたら、目の前のワンボックスカーの窓から福士さんが手を振ってくれているのに気が付いて、慌てて走り寄った。
｢おはようございます！ 今日はよろしくお願いします｣
｢Aさん、おはよ。乗って｣
後部座席は満席で、どこに座ればいいのか迷ったら、福士さんがくすっと笑って呼んでくれた。
｢こっち｣
呼ばれたのは助手席で、恐縮しながら乗り込んだ。
福士さんの隣だなんてプレミアムシートだ。
後部座席にいるのは同期の男の子一人と、先輩三人の合計四人。他のメンバーは別の車で現地に向かっている。
｢おはようございます。今日はよろしくお願いします｣
後ろを振り返って挨拶したら、みんなニヤニヤ笑っててご機嫌だった。
みんな今日は準備から汗をかくから、私服で来ていた。そのせいか若々しく見える。
福士さんと同期の風間さんがニコニコしながら言った。
｢今日は紅一点だからね、その笑顔で僕らのこと癒してね｣
｢紅一点ですか？｣
おかしいな。応援スタッフが後から来るはずなんだけど。確か30人くらい。
風間さんと同じく福士さんと同期の丸山さんが、顔をしかめて大袈裟なジェスチャー付きで首を横に振った。
｢あかんあかん！ 応援に来る女子はみんな福士狙いやから、つかいものにならへんねん。余計な熱を振り撒きに来るだけや。頼みはAちゃんだけやからオアシスよろしくお願いしますー｣
拝むように手を合わされて私は目を丸くした。
｢私じゃ水溜まりにもならないと思いますけど。でも気合い入れてきたんで頑張りますね｣
車を走らせながら福士さんが私をちらりと見て言った。
｢気合いがそのパンツに溢れてるの？｣
私は膝上のパンツを履いていた。
｢･････ダメでした？ ロングパンツの方が良かったでしょうか｣
｢ううん。白いパンツ似合ってるよ。でも足にも日焼け止め塗った方がいいかもね。肌白いからあっという間に真っ赤になるよ｣
｢そうですね、そうします｣
すると後ろから丸山さんが言った。
｢俺は長ズボンが良かったなぁ｣
甘えたような言い方だ。
･･････どうして？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 506人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ao(プロフ) - mizunaさん» mizuna様こんにちはー。ご趣味が一緒で喜んでおります！そうなんです、あの可憐さなのに、中身男前なのが、たまりません。移行したのでそちらも楽しんでくださいね〜。ありがとうございました！ (2019年9月8日 7時) (
レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
mizuna(プロフ) - aoさんこんにちは〜、まさかのすっぽかしで内心ヒヤヒヤしながら青春も感じる甘酸っぱさに身悶えて読んでます(笑)若い頃の彼は儚さと危うさが入り混じっていていいですよね、かと思えば男臭かったり･･･ｗ今作すごく好きです！移行先も楽しみにしてます♪ (2019年9月7日 10時) (レス) id: a740177e2c (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - keiさん» keiちゃんおはよう！高校生の智君、楽しんでね〜。残暑厳しいから、体調にも気をつけてね！新連載頑張るねー。 (2019年9月6日 9時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ねいまーるさん» いえいえ、おきになさらず。私のお話なんて誤字だらけです。これからもよろしくお願い致します！ (2019年9月6日 9時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
kei(プロフ) - aoちゃーん♪バタバタしていてやっと読めたよ♪なんかめっちゃ青春だね〜♪ドキドキきゅんきゅんするわ＾＾また更新楽しみにしているね♪ (2019年9月5日 13時) (レス) id: 6904188dc6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ao
| 作成日時：2019年8月24日 21時
