5話 ページ44
その後、智君の二階の部屋に行こうとして、階段を昇りきって、いくつかあるドアのうち、どの部屋だろうって後ろから上がって来ていた智君を振り返ったら、ニヤついてるご主人様がそこにいた。
｢どうしたの？｣
智君は答えず私を追い越して一つの部屋のドアを開けた。
そこは床や壁など、茶色い色味の部屋で、大きな家具はシングルベッドと机とぎっしり詰め込まれた本棚だけで、床は片付いていた。押し入れがあって、押し入れの壁紙には智君が描いたとすぐに分かるイラストがところせましと書き込まれていた。
｢すごいね･････｣
こんなところに書いたら、普通は落書きするなってお母さんに怒られそうだけど、これだけ緻密で上手いと怒る気も失せるというものだった。このまま額に入れて飾りたいくらい。
智君は昔から絵を描くのが大好きだったんだね。
この感動を伝えようと振り返ったら、思いのほかすぐそこに智君がいた。
腕が伸びてきて、壁と両腕で体を囲われた。
ドキッとして、至近距離の恥ずかしさに頬を染めた。
｢智君･･････？｣
智君はフフっと笑って言った。
｢これ壁ドン？｣
今のこの態勢のこと？
智君が無邪気に笑っているのを見て、一瞬期待しかけていた自分を恥ずかしく思った。
この壁ドンは甘い何かの始まりじゃなかったんだね？
私はまだドキドキしていることを悟られないようにしながら同じように笑って返した。
｢そうだよ。壁ドン｣
でも智君は壁ドンとかしなさそうなのに。
｢･････智君、これは人生で何回目の壁ドン？｣
｢したことない。やりたいとも思ったことねぇよ？｣
｢やっぱり｣
｢やっぱりってなんだよ｣
笑いながら軽く膝で太股のあたりを蹴られた。
冗談でも言わないとこの態勢は恥ずかし過ぎる。だって今、凄くドキドキしてるもの。
照れて顔が見れない。
急にどうしたの･･････？
私で遊んでる？
すると智君が唇だけで笑って言った。
｢逃げられねぇようにした｣
そして一歩、智君は私との距離をつめた。
首を伸ばしたらキスが出来ちゃいそうな距離で、隠したかったドキドキはもうばれていると思われた。
｢智君、逃げないから離れて･･････？｣
｢嫌？｣
顔を上げたらしょんぼりしていたから、急いで首を横に振った。すると智君はすぐにニコッと嬉しそうに笑った。
ずるい人。
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ao(プロフ) - keiさん» kei様はじめまして。ようこそお越し下さいました。数日中に移行出来ると思うので、待っててくださいね。私も書きながら癒されてます。コメントのおかげでまた頑張れそうです。ありがとうございました。 (2019年9月7日 9時) (
レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
kei(プロフ) - aoさん、はじめまして。素敵なお話をありがとうございます。このお話のねこちゃんと大野さんに癒されて、ドキドキして、何回も読み返してます。更新を楽しみにまっています。 (2019年9月3日 17時) (レス) id: a6dd3c2537 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - mizunaさん» mizuna様こんにちはー！本当に彼は魔性ですね･･･。魅力の塊です。酔わされちゃいますね。でも翔君もほんと凄い人で。あらためて、奇跡の五人に感動中です。 (2019年9月3日 6時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
mizuna(プロフ) - こんにちは〜久しぶりの更新に読む前からドキドキしてました（笑）aoさんと同じ様に本来なら私も翔くんタイプに恋する人間なので共感から笑っちゃいました、反対に智くんがそれを凌駕する魅力的な人って事でもあるので大野智は魔性ですね(笑)次回も楽しみにしてます！ (2019年9月2日 15時) (レス) id: a740177e2c (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - blue3104さん» blue3104様こんにちはー！私は皆さんのコメントに癒しをいただいています。夏の終わりは疲れが出がちですから、どうぞご自愛くださいませ。お話読んで、癒されてくださいませ。 (2019年8月30日 9時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2019年8月10日 9時
